あの著名人の新人時代とは!?

鈴木おさむ「積み重ねと好奇心」

2014.02.27 THU


すずきおさむ 1972年千葉県生まれ。大学在学中から放送作家に。妻は森三中の大島美幸。著書の『美幸』は“幸せのあり方”と“無償の愛”を残酷に描く意欲作。「単純にこの人の人生を作りたいという意欲から生まれました。モノローグ形式なのは、僕は小説家じゃないので、台詞という一人称で綴ることにこだわっているからです。そこを踏み外すと面白くないと思うんですよね」。1365円で発売中 小島マサヒロ=撮影
「19歳の出した企画なんて興味を持ってくれないんですよ、最初は。でも“面白いかどうか”は見てくれないと判断してもらえないんで『ちきしょー』って思っていましたね」

その当時、鈴木おさむさんは半分学生で駆け出しの放送作家。ようやく入れた念願の好きな世界。認められたい一心で、萎縮しているヒマなどなかったという。

「某大学替え玉受験事件で受験をした年上の先輩がいて。社会的にはやっちゃいけないことだけど、その経験を『面白い』とみんな笑って話を聞くんです。付加価値を持たないと、自分に興味を持ってもらえなかった。考えた末、当時流行り始めたSMクラブに自腹で行って細かくメモをとり、その話を披露したんです。しばらくあだ名は“SM”になりましたが、一目置いてもらえるようになりました」

“つかみ”は成功したものの肝心の企画力は追いついておらず、なしのつぶてだったとか。

「だから数で勝負しましたね。毎週5本の宿題を課されましたが、25本出して。採用されなくても、それだけ出せば傾向がわかってくるんです」

仕事一本で行く決意をして大学は中退。怒られるし寝る時間はないし苦行のような生活だが、「苦じゃなかった」。

「面白い人が認められる単純な世界が楽しくて。それと、自分を引き上げてくれる人がいたんです。(笑福亭)鶴光さんのラジオで、プロデューサーに『いつかチーフになりたいなら、放送されない2時間分の台本を毎週書いてこい』っていわれて。今考えるとよくやったなと思いますが、その人は僕が書いた台本を赤ペンで毎回直してくれました。それを半年続けたとき、若手でしたがチーフに抜擢してくれたんです」

出会いに貪欲になれば
積み重ねがさらに生きる

積み重ねはもちろん、「飽くなき好奇心」も大事。おさむさんの場合はとにかく人に会って話を聞いた。ルーティーンに陥りがちな仕事生活にメリハリを付けることで、自然と引き出しが増えたとか。

たとえば「番組で書道の女の子の取材をして…」と「うちの奥さんが昔いじめられていて…」が合わさったとき、『美幸』というエピソードに結実し、このたび著書として発売された。

「全部ムダになりません。書道が得意なためにイジメを受けた女の子が大人になって、好きな人のために復讐する。そこには無償の愛があって…と思いついたテーマは人と会うことから生まれたんです」

一見不幸ながら“幸せ”に生きる女性の半生を、モノローグ形式で巧みにまとめている。その人となりから明るい話を期待していると残酷なストーリーに面食らうが、これも引き出しのひとつ。仕事に出会いに貪欲になれば、思いもよらない成果が生まれるということだ。

「でも僕は、若い人に自分のやり方を押しつけません。期待の新人なんて期待外れになるのが常なんで。人のプレッシャーって恐ろしいですよ。自分が幸せならいいんです。他人の期待なんて気にしないで、力強く生きてほしいですね」

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