ヒットの舞台裏

チームラボ、子供も熱狂するアート展

2014.04.18 FRI


「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」展は、鑑賞するのではなく、体験し、共に創りあげる展覧会。どの出展作にもチームラボが得意とするセンシング技術などを使った双方向的な仕掛けがあり、子供が体を動かしながら、感覚的に楽しめるよう工夫されている。また、それぞれの作品に完成はなく、映像やセンシングの手法などは展示ごとに改良され続けているそうだ 写真提供/チームラボ
描いたばかりの魚の絵が、眼前の巨大なスクリーンのなかを泳ぎだす。壁に映しだされた文字に触れると、その文字が意味する世界が映像として現れ、物語を紡いでいく…昨年から各所で開催されている「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」展(以降、未来の遊園地展)では、子供たちが夢中になって遊んでいる。

チームラボは、デジタル領域を中心に独創的な事業を展開する“ウルトラテクノロジスト集団”。もともとウェブサイトの設計やシステム開発、デジタルテクノロジーを用いたプロダクトやサービスなど、幅広い事業を手がけてきたが、近年はメディアアートの制作や展示にも力を入れている。代表の猪子寿之氏いわく、「日本の技術力や文化を海外に発信するには、言葉によらず感覚に訴えかけるアートという手法がもっとも適している」。未来の遊園地展も、こうした試みの一環だ。

同展の企画・運営を統括するのは、入社3年目の長島みのりさん。

「これまではクライアントの要望を受けて映像を制作したり展示を考えたりすることが多かったのですが、今回はチームラボ主導の企画。海外の展覧会には子連れでいらっしゃるお客様も多く、当社の創業メンバーが子を持つ世代になったこともあって“子供にも楽しめる展覧会”をやってみようと始まったんです」

長島さんはビジュアルを描く絵師や3DCG映像を動かすプログラマー、鑑賞者の動きを感知するセンシング技術のエンジニアなど、各領域のスペシャリストをまとめ、全体をディレクションする「カタリスト」という役割を担っている。

「未来の遊園地展で重視したのは、『共に創り、体験する』こと。お客様が移動したり触ったり、何か動作をしたら、映像や音によるフィードバックがある。鑑賞するだけでなく、その場にいる一人ひとりの動きを含めて空間がつくられていきます」

こうしたイメージを形にするうえで、同社がこれまで培ってきたCGやセンシングの技術は欠かせない。それぞれの技術者は企画段階のブレストから参加するそうだ。

「ただ、技術が先立つと作品はつまらなくなります。コンセプトが明確じゃないと、あれもこれもと技術を詰め込んでしまって、何をやりたいのかよくわからないものができる。『自分が描いた魚が泳いで、餌をやれると面白い』というアイデアが出たら、余計なものは足さず、そこに最適な技術は何かを話し合うようにしています」

「共創」というキーワードは、未来の遊園地展のテーマであり、チームラボの理念でもある。

「私は学生時代から、映像作家や舞台演出家と組んで音楽をつくってきました。他人と何かをつくるとぶつかることも多くて大変だけど、1人でやるより楽しいし、確実にいいものができる。お客様にもそう感じてもらえるような作品や展覧会をつくっていきたいんです」

(宇野浩志=取材・文)


【取材先プロフィール】
チームラボ・カタリスト
長島みのりさん
東京藝術大学音楽学部卒業、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了。2012年にチームラボ入社後、書を使ったインスタレーション「龍心図」、「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」展など、アートや展示を中心に携わる。自ら音楽制作やライブを行うプレーヤーでもある

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