『里山資本主義』藻谷浩介さんに聞く

10年先を生き抜く「3つの方法」

2014.07.17 THU


日本総合研究所主席研究員 藻谷浩介さん 1964年山口県生まれ。地域振興の各分野で精力的に研究・講演を行う。著書に『デフレの正体』『里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く』(角川新書ワンテーマ21)、『しなやかな日本列島のつくりかた』(新潮社)など 写真/遠藤正太
変化の激しい社会環境。里山で培われた安心の仕組みに注目する日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんに、10年後を生き抜くにはこれからどうすればいいか伺った。

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この10年で確実に起きることがあります。それは“化石燃料価格のさらなる値上がり”。2001年に8兆円台だった石油・ガス・石炭の輸入額は、2013年には27兆円台へと3倍増。原発停止分を省エネでカバーして、輸入量は1割以上減っているのですが、新興国の成長による需給逼迫で、値段が上がり続けているのです。この流れは今後も止まらず、化石燃料を大量に消費するハイテク工業は貿易黒字を稼げなくなり、石油多消費型の大規模農法頼みの輸入農産品も、値上がりしていきます。もう一つ確実なのは、後期高齢者が3割以上も増えること。10年後までに団塊の世代が75歳を超えますから。

働き手が多く高齢者は少なく、化石燃料がタダ同然で使えた時代のやり方は、もう通用しません。

■少しの自給と子供との絆。“買わない生活”がカギ

10年先を安心して生きるには、3つ方法があります。1つめは、都会で勤めながらも、買わずに自給する部分を増やすこと。庭先や借りた田畑で週末農業を実践すれば、米や野菜を一部分でも自給できますし、近所の人との物々交換のネタにもできます。ソーラーを付けたり、薪やペレット(木くずを固めた燃料)を暖房に使うなど、エネルギーを自給する方法も増えてきました。これで石油や食料の値上がりを少しはカバーできます。

2つめは、都会よりずっと食料やエネルギーの自給が容易な田舎に移住して、より本格的に自給をしながら、半分は農業、半分はITなどを活用し自営で食いつなぐ、「半農半X」という道です。収入と自由度が高くなり、起業家精神のある人にオススメです。

3つめは、田舎に行って林業組合や農業法人で働くこと。受け身な人にいかがでしょうか。給料は安いですが、食費や家賃も格段に安いので、かえって可処分所得が増え、悠々自適に子育てができるかもしれません。都会でお金のかかる塾や名門校に通わせるより、田舎で子供にきちんとかかわって親子の絆を強めておいたほうが、将来配偶者や孫を連れて帰ってくる可能性も高くなりますよ。子供に限らず、身の回りの人たちとの“絆”があることこそが、老後の安心を生みます。食料や燃料を一部だけでも自給しながら、周囲とつながっていくことが、これからの人生を生き抜く鍵でしょう。

(大貫未来/清談社)


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