ここが僕のピーク。 ― HYDE、本気で夢に取り組む。

HYDE

2014.11.06 THU

ロングインタビュー


武田篤典(steam)=文 SACO.=写真 高見佳明=スタイリング 荒木尚子=ヘアメイク
音楽ってこんなに!?
ライブで体感する“素”

―『BLOODSUCKERS』。オリジナルアルバムの発売は4年ぶりなんですね。このインターバルというのは、どんな感じなんですか?

「気づいたら4年もたってた」ですかね(笑)。ずっとライブはやり続けていたので、アルバムが出ないと、正直どんどんやる曲がなくなってきてしまうんです。それで、どうしても作らざるをえなくなった。その限界が4年だったと(笑)。

―このタイミングで出すというのは、どういうふうに決まるんですか? 出さないと、ビジネス的側面から怒る人もいますよね?

それはいません(笑)。スケジュールは全部自分たちで決めているので。で、それは大まかにはコンサートに絡んできます。僕らは一つの会場で何日間も続けてやるので、1年以上前じゃないとブッキングできないんですよ。会場を押さえてしまったら、それに向けてアルバムを出さなくては、コンサートが盛り上がりません。
―お客さんには「また同じ曲か」とか思われてしまいますしね。

やってる僕らだって同じですよ。だからコンサートのスケジュールを元に「完全な締め切り」が決まる。じゃないと、芸術作業はどうしても「もう1週間」「あと1週間」ってノビノビになってしまう。

―今回、先にシングルが5曲ありました。それはおそらくアルバムに収録されますよね。その並びを見て、「こんな曲が必要だなあ」というようなことで、アルバム用の新しい曲を考えていく感じですか。

そうですね。

―…何かすいません、ビジネスマンに仕事のやり方を聞く、みたいな質問ばっかりしちゃって。でも一方で、アーティストとして「今、こんなことがやりたいという衝動があるんだ!」っていうのも表現していかれるわけでしょ?

衝動というよりは、ライブを続けるなかで「こんなことやりたいな」っていうのが徐々に蓄積されていくんです。シングルって、聴いた人がパッと受け止められるキャッチーさが必要なんですね。それって実はハードル高いんですよ。

―そういう縛りがあるから? 

「みんなが好き」で「僕も好き」じゃないとダメなんで。キャッチーだけど好きじゃない曲なんてライブでもやりたくないから。

―シングルがそうだとしたら、アルバムのタイミングで作るのは…。

ライブで本領を発揮する、VAMPSの世界観を語れるような曲。その作業はむしろシングルよりワクワクしますね。キャッチーな部分はシングルに任せて、それ以外は好きにやらせてもらう、という。

―そうか…そもそも「ライブ用の音源」なんですもんね。

ライブは面白いですよ。来ていただくと「音楽ってこんなにいろんなカラダの動かし方できるんだ」ってわかる。あのー、ライブっていうと、「顔の横で両手を前後に振る」みたいな動きありますよね。延々。あれって、手ェ疲れへんのかな?って思う(笑)。音楽って首振りたい曲もあれば、横に揺れたい曲も、走り回りたい曲も、ジャンプしたい曲も、叫びたい曲もあっていいんですよ。VAMPSのライブではそういうのを全部体感できるようにしてます。ロックで、ちゃんとエンターテインメントしていて、見てるだけでも楽しいと思う。ファンも含めてぐちゃぐちゃなんで…。

―ぐちゃぐちゃなんですか?

ぐちゃぐちゃです。セクシーな女の子もいっぱいいるし。

―いいですねえ。CDは、そういうライブの素であると。

ぼくらはモハメド・アリ戦法と呼んでるんですが、今回の『BLOODSUCKERS』、1曲め2曲めは誰もがスッと受け入れられるような曲ですよね。

―超キレイなピアノのインストから入って、スケールの大きなメロウでドラマチックな2曲め。

その後にロックが突き刺さるように作ってあるんです。まぁ偶然そうなったんですけど(笑)。

―確かに3曲め…「LIPS」は非常にヘビーな感じでデジタル感もあるロックです。4曲めの「AHEAD」は、疾走感あふれるキャッチーな曲。これ、シングルですね。蝶のように舞い、蜂のように刺す…。

そう。VAMPSがやりたいのはロックで、僕らはブリティッシュニューウェーブとか80sの影響をすごく受けてると思うんですが、節操はないんですよね。このアルバムでも、2曲めと3曲めはもう全然ジャンルが違う。全部聴いてもらえると必ず好きな曲が見つかると思います。

未来は5年先まで。
HYDEになる方法

―ライブは、“籠城型”だとか。同じハコで連続何日もやるんですよね? それはどういう狙いで?

最初はそんなに深く考えてなかったんです。座席指定で手を振ってるのってロックっぽく見えないから、「スタンディングのある会場でやる」ということだけ決め事にしてました。よくやってるZeppはスタンディングで3000入る、すごくいい会場。で、ライブが大好きだからどんどん回数を増やしていったら、これは自分たちにぴったりなやり方だと確信したんです。

―どういう点で?

まず機材。10日間違う会場でやると、その都度全部出して設営して撤収する。で、次の会場にまた運搬しなくちゃならない。それを同じ会場で10日間連続してやると、その分の予算を全部ステージに使えるんですよ。そうすると、舞台装置から造形から演出から…見たことのないようなライブハウスが出現するんですよ! それとエンジニアさんの音作り。会場が変わるたびイチからやります。お客さんが入ってからじゃないと最適な音の設定ができないから、仕上がるのはコンサートが始まってしばらくかかります? せっかくできても次の日には、また違う会場に移動しなくちゃならない。それが、僕らのやり方だったら、2日め以降はもう仕上がってる。

―楽しげですね。ライブそのものも、ライブについて語るHYDEさんも。あと、海外公演も増えてるんですよね。

世界基準の音楽を作っていきたいというのは、根本にあります。僕も欧米のロックを聴いて育ってきたし、好きなバンドの音楽と、僕らの曲が肩を並べて、海外の同じラジオ番組で流れるのは夢ですね。L’Arc~en~Cielと違うのはフットワークが軽いので、そこに向かっている感じ。

―L’Arc~en~CielとVAMPSって、HYDEさんのなかでどう差別化しているんですか?

音楽を作る場合、L’Arc~en~Cielに基準はないんです。歌謡曲みたいなのでもいいし、ポップスでもイージーリスニング的なものでもいい。VAMPSはロックじゃないと…っていうぐらいかな。

―VAMPSは結成6年ですよね。いずれはそういう活動をしたいと考えてたんですか? そもそも人生の青写真的なものは設定される派ですか?

あんまりやってないですね。だいたい5年先ぐらいを見るのが限界かな。たとえば今、海外へのアプローチをする流れでやってますが、そんなに長期間取り組んでも意味はないと思っています。集中してこの2~3年、尾鰭がついて5年ぐらいでのチャレンジかな、と。今の僕に関しては、ここがピークだと思っています。もし、この世界への夢がちゃんと叶わないのないなら、シフトを変えるつもりです。

―違うところに目標を置くわけですね。

いずれにせよ、3年後ぐらいから変わると思いますよ。

―そういう、ある目標に関してわりとクールにプランニングするのって昔からですか? 

いやらしい言い方をするつもりはないんですが(笑)、才能でやってた感じですね。何も考えてなかったし、何かに向かって努力するようなこともなかった。考え始めたのは、30歳以降ぐらいからですよ。

―なぜですか?

たぶん楽しくないから?仕事を楽しくするには、うまくいかない部分を修正する努力をしないといけないですね。僕は才能だけでL’Arc~en~Cielという波に乗れてたと思うんです。今振り返ってみると、あの頃の僕はひどいですよ(笑)。何もしてないですから。「失敗したらこうしよう」「あっちの選択肢のことも考えよう」「自分はもっと前向きに変わっていきたい」…って、メンバーはみんなそういうことをずいぶん前からやってたんだと思います。僕はそれを遅ればせながら、今ごろやってるのかもしれない。

―最後に大それた質問を。

はい(笑)。

―30オトコは、どうすればHYDEさんのように年を取れますか?

え?(笑)…んー、なんだろう。唯一僕がしているのは、「太らない努力をする」てことですかね。顔も洗うだけで、特別に何もしてないし。…あ! とくにこの年代に言いたいことが見つかりました。それは「もう若くないから」って言うな、と。年をとると後輩ができたりして「お前ら若いうちに遊んでおけよ」って言うでしょ、大人ぶって。でも30なんて、ガキ。いや、40でもガキですよ。10年後の自分に言わせりゃ、今の自分なんてずっとガキ。だからなんでもやろうと思えば、いつでも挑戦できるんですよ。「あの時やっとけばよかった」って思うかもしれない。「もう若くない」って考えると、人生すごくもったいないと思いますよ。

L’Arc~en~Cielのヴォーカリストとして94年デビュー。01年にソロデビュー。05年には、映画『NANA』の主題歌「GLAMOROUS SKY」を楽曲提供。08年にK.A.Z(Oblivion Dust)とVAMPSを結成。6年間で行ったライブは国内外合わせて300本以上。13年よりユニバーサル・ミュージックに所属。シングル「SEX BLOOD ROCK N’ ROLL」は世界118カ国で発売された。現在、全国“籠城型ツアー”の真っ最中。www.vampsxxx.com/

武田篤典(steam)=文
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高見佳明=スタイリング
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