1980~2010年代までヒット曲の歌詞を分析!

JPOP歌詞 30年で「愛」激減

2015.05.20 WED


西野カナが作詞する際には、友人たちにアンケートをとるそう。女子から支持される彼女の歌詞は、熱心な研究によって作られているのだ ※画像はサイトのスクリーンショットです
ラジオやテレビから流れてきた曲の歌詞に、思わず共感してしまった経験は誰しもあるはず。でも、ネット上では「最近の歌詞はつまらない」「昔の曲はよかった」なんて声も多く、最近のJ-POPの歌詞に違和感を覚える人は少なくないよう…。

はたして、J-POPの歌詞は昔と今で何が違うのか? 実際に調べてみることに! 1980~2014年の年間シングルランキングTOP10(2010年代はTOP20)、計400曲を対象に、歌詞内に登場する単語の数を集計し、分析してみた。

■気取らない愛情表現がウケる時代に!?
まずはJ-POPの定番(?)、ラブソング。「愛」「愛してる」「愛し合う」など、「愛」というワードに注目して歌詞を見ると、その登場回数は、

175回(80年代)
161回(90年代)
154回(00年代)
105回(10年代)

と、徐々に減少していることが判明! さらに、「好き」という単語も、

38回(80年代)
26回(90年代)
19回(00年代)

と、減少する傾向が見られた。しかし、2010年代では「好き」が99回も登場し、他の年代と比べて明らかに増加! AKB48「希望的リフレイン」、SKE48「片想いFinally」で「好き」が連呼されているのも影響していそうだ。今は、ちょっと大げさな印象を持つ“愛”よりも、“好き”というフランクな表現のほうが受け入れられやすいのかもしれない。

■「涙」を忘れて、「強く」なりたい?
1980年代は11回の登場にとどまっていた「強い」「強く」という単語は、

11回(80年代)
33回(90年代)
43回(00年代)
39回(10年代)

と90年代から増加傾向に。00年代以降もその水準を維持している。一方、「涙」「泣く」という“悲しみ”を表すワードは、

「涙」
65回(80年代)
59回(90年代)
59回(00年代)
45回(10年代)

「泣く」 
59回(80年代)
43回(90年代)
55回(00年代)
33回(10年代)

と、どちらも2010年代に減少している。“悲しい”気持ちよりも、“強く生きよう”と励ますような楽曲が支持されるようになってきていると言えそうだ。

■地名の入った楽曲はもうヒットしない?
1980年代の調査対象100曲を見てみると、「大阪しぐれ」(都はるみ)の「堂島」や、「別れても好きな人」(八代亜紀)の「渋谷」「一ツ木通り」など、実在する地名が19回登場。これらの多くは、その土地の情景を感じさせることが多い演歌のなかで歌われている。しかし、1990年代以降、歌詞に地名が登場するのは「愛の言霊~Spiritual Message~」(サザンオールスターズ)や「桜坂」(福山雅治)など300曲中14回のみで、「街」「海」など大まかな場面設定しか歌詞にされていない曲が多かった。最近の曲は、誰もが歌の世界に入り込みやすいよう、場所をあえて特定しない傾向があるようだ。

■女性が「僕」と歌うとヒットする?
“一人称”に注目してみると、年代が進むにつれ、女性アーティストによる「僕」が一人称の楽曲が徐々に増えていることがわかった。

1曲(80年代)
3曲(90年代)
7曲(00年代)
30曲(10年代)

1980年代は「天使のウィンク」(松田聖子)の1曲のみだったのが、1990年代は「空と君のあいだに」(中島みゆき)など3曲、2000年代は「SEASONS」(浜崎あゆみ)や「光」(宇多田ヒカル)など7曲と徐々に増加。さらに2010年代になると、なんと30曲が女性による“僕曲”に! その要因として、秋元 康氏が作詞を手掛けるAKB48や乃木坂46などの楽曲が多くランクインしていることが挙げられる(秋元氏による男性目線の歌詞を、アイドルが歌う場合が多い)が、これだけ増えているとなると、女性が「僕」と歌うことがヒットの鍵…ともいえそう。もしかすると、“純粋さ”“繊細さ”というイメージを持つ「僕」というワードがリスナーの心を打つのかもしれない。

■「会いたい」「会えない」は減少していた!
ネット上では、西野カナの歌詞について「会いたがりすぎ」なんて揶揄する声も多い。そこで、実際に年代ごとの「会いたい」「会えない」の登場回数を調べてみると、

「会いたい」
3回(80年代)
9回(90年代)
1回(00年代)
5回(10年代)

「会えない」
7回(80年代)
6回(90年代)
2回(00年代)
0回(10年代)

となっており、どちらかといえば昔のほうが「会いたい」「会えない」と歌っていたようだ。ちなみに、今回の調査対象には入らなかったが、西野カナの楽曲には122曲中12曲、約10分の1の確率で「会いたい」が登場。「会いたくて 会いたくて」では11回も「会いたい」と歌っており、やはり相当な勢いで“会いたがって”いた。

J-POPと一口にいっても、こうしてみると、受け入れやすい表現のラブソングが増えていたり、聴く人を励ます応援歌的要素が強くなっていたりと、常にリスナーに寄り添った歌詞に変化し続けているといえそう。そのわかりやすさや柔軟性こそ、“ポップス”としては正解なのかも?
(アオキユウ/short cut)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト