娘たちの記憶にずっと残るようなプレーを…

石川直宏「子育ては発見の日々」

2015.05.29 FRI


いしかわ・なおひろ 1981年、神奈川県出身。2000年、横浜F・マリノスでJリーグデビュー。03年にFC東京へ移籍、以来、チームの中心選手として活躍。04年、23歳以下日本代表でアテネオリンピックに出場、日本代表では国際Aマッチに6試合出場。趣味はサーフィン。
サッカーの試合中、しばしゴール後に「ゆりかごパフォーマンス」を目にする。それは子供が誕生したチームメイト(あるいは自身)の祝福を意味する儀式。FC東京の石川直宏選手は、長女の樺音(かのん)ちゃんが生まれた2週間後、自らの足でゴールという祝砲を放ち、儀式を行う機会に恵まれた。

「それまで何度も『ゆりかご』をしてきましたが、やはり自分のためにチームのみんながパフォーマンスをしてくれた時は感無量でしたね。サッカー選手としてももちろんですが、父親になった自分をとても誇らしく思いましたし…最高に幸せな気持ちでした」   

自分だけでなく周りも笑顔にする子供の存在は、何より大きなものとなる。意識にも変化が生じるが、自覚するのは少し後だった。

「娘たちの成長とともに、自分も変わってきたという感じです。夫婦ふたりだけの時は自分と妻のことを考えていたのが、子供たちのことを最優先して考えるようになりました。ですから、一番の大きな変化は優先順位でしょうね。もともと子供好きだったので、娘たちのことは目に入れても痛くないくらいかわいいのですけれど(笑)、同時に親としての責任が増していることも、ひしひしと感じています」  

それは育児方針にも反映されている。思案した末、経験則を元に娘たちを育てることにしたそうだ。

「人として絶対にしてはいけないことを親から教えられたほかは、のびのびと育ててもらったんですが、それによって子供心に自分で物事を考えるという習慣が自然と身についたんですね。妻の家も似たような環境だったので、自然と娘たちに対する接し方も同じになりました。と言いつつ、つい口を出してしまいがちなのですが…。そういう時、自分たちの親も同じような気持ちだったのかな、と思ったりして、自分が親になったからこそ感じることができるんだなと考えると、ちょっと感慨深いなって。子供と接しながらそんなことも思っています」

試合の日は別として、練習時間以外はフリーなので、子供たちと過ごす時間は比較的長い。それだけに会えない時は寂しさが募るという。

「アウェイで試合がある時は前泊するのですが、1日会わないだけでも寂しいんですよ。なので、シーズン前の合宿で3週間ほど離れた時は、もう大変でしたね(笑)。そんな自分の娘たちへの強い想いを再確認したことに加えて、会っていなかった3週間でできるようになったことがグンと増えていて、子供の吸収力ってすごいなと、あらためて思いました。そういう意味では、子育てというのは発見の日々なのかもしれませんね」

実際、娘たちの成長とともに、ピッチに立つ=現役を続けることへの想いが、さらに強まったとか。 

「パパがサッカーを仕事にしているということは、娘たちもわかっているみたいです。今季は次女の結愛(ゆあ)と手をつないでピッチに入場するという夢を叶えることもできたのですが、欲を言えば、娘たちの記憶にずっと残るようなプレーをもっとしたいので、できるだけ長くピッチに立ち続けたいですね。娘たちにもサッカーをやってほしい気持ちはありますが、厳しさや大変さをよく知ってもいるので、無責任には勧められなくて(笑)。もちろん、自発的に興味をもって始めたいと言えば全力でサポートしますけれど…親としてはサッカーに限らず、様々なことにチャレンジさせたいなと考えています」
(平田真人)

  • オフの日は、子供たちと公園で一緒に遊ぶことが多いという石川選手。長女の樺音ちゃんには自転車の乗り方を伝授した。
  • ホームでの試合で、愛娘2人にエスコートされて入場したことは忘れがたい思い出になった

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