反町隆史『相棒』引き受けた理由

反町隆史

2015.11.12 THU

ロングインタビュー


矢切渡司=取材・文 林和也=撮影
――評判いいですね。お耳に届いてるんじゃありませんか?

「まあそれは、歴代相棒となった方々、毎回話題になりますよね。それだけ注目されている作品だと思って受け止めています」

――今回、同じ警察組織の人間ではないという目新しさがあります。警察にいる門外漢として、右京を利用してやろうという魂胆を隠そうともしない。掲載日時点ではまだ4話目ですが、右京との距離はなかなか縮まりませんね。

「相棒は男同士の世界ですよね。信頼関係があって、背中を預けられ、互いに刺激を受けるよきライバルでもある。いってみれば親友よりも濃い関係だと思うんです。そういう相手って、なかなかいないじゃないですか。僕にも親友はいるけど、相棒はいない。そう考えたときに、水谷さんが15年培っていた役に、そんな簡単に『相棒です』なんて、調子のいい話ですよね。だから徐々に撮影が進んで、6カ月の撮影のなか、どこか一瞬でも『相棒だな』と認め合える瞬間があればいいと思うんです」

――それは冠城と杉下の関係でもあり、反町さんと水谷さんとの関係でもある。

「そういうことです。水谷さんは気さくな方で、ありがたいことに現場にはすんなりと入り込めました。僕のアドリブを笑って受け止めてくださるので。演技の際、監督が『今のいいね』とコミュニケーションを取って背中を押してもらえた要因のひとつな気がします」

――冠城を演じるのは楽しいですか?

「楽しいですよ。策略家でありながらユーモアがあって、キャラクターの振り幅がすごく広いですから。ただ最初はもがきましたね。クランクインする前は、本当にいろいろ考えましたし、重圧もありました。でもそこは必要な時間だったと思います。乗り越えたときに、役に向き合う姿勢がシンプルになるというか」

――反町さん、もがく方なんですか?

「そのときどきによりますよ。とくに今回は緊張しましたし、いろいろ考えました。…なにせ僕だけ現場で『初めまして』ですからね」

――そんな苦労があることをわかっていながら引き受けたわけですよね。冠城役をやる決め手はなんだったんでしょう。

「寺脇(康文)さんが演じた初代の相棒時代から見ています。世間の期待感と評価のある作品ですから、そこに挑戦できることは楽しみですよね。皆さん『誰の相棒がよかった』というのがあるなかで、自分がどれだけやれるのか、挑戦してみたいじゃないですか」

――ちなみに仕事は選ぶ方ですか?

「僕は来るもの拒まずなんですよ。そして去る者追うという(笑)。いや、単純に自分を必要としてくれるところで仕事がしたいということです。だって最大限によさを引き出してくれるわけじゃないですか。それに僕を指名してくれるということは、感謝の気持ちを持って仕事ができます。その気持ちは仕事の基本で、大切なことですよね」

――『相棒』はなかなかの滑り出しですが、そうでないことだってあるわけじゃないですか。いい評価を得られる場合とそうじゃない場合がありますよね。

「でも『この仕事受けるんじゃなかった』なんて思うことはまずないですよ。確かに視聴率や観客動員数といった数字の評価はあります。そこはあくまで結果論で、自分自身として作品や人物、スタッフに対してどう接してどんな仕事ができたか、やりきれたかが大切だと思っています」

――俳優は常に世間の評価にさらされます。気持ちが折れないようにするためには、どういうスタンスでいるんでしょうか。

「う~ん、評価が気になるときもあれば、気にしなくていいときもありますから、何ともいえないですけどね。ただ一番大事だと思うのは、自分がそれに飲み込まれないことですよ。そのためには常に謙虚に、臆病になってないといけないと思っています。自分の演技や現場での態度に、『今のでOKかな?』って疑い続けることですよね。傲慢になってすべて自分の自信に繋げてしまうと、結果を受け入れられないことがありますから」

――そのお考え、昔からですか?

「いや、そんなことはないですね。一喜一憂していた時期もありますし、昔は至らなかったこともたくさんありました。とくに若いころは…ね」

そりまちたかし/1973年埼玉県生まれ。モデルとして活躍し、1998年ドラマ『GTO』(フジテレビ系列)に主演し、大ブレイク。自身が歌う主題歌「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」もヒット。この10月からはテレビ朝日系列の大人気ドラマ『相棒』で冠城 亘役で出演。円熟味を増した演技で、これまでの“相棒”像を覆す新鮮な息吹をドラマに吹き込んだ。と同時に、俳優として新境地を開拓。これまでのファンには引き続きオススメなほか、これから『相棒』を見る人にもピッタリのタイミングだ。

矢切渡司=取材・文
林和也=撮影

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