事故から生還した杉野希妃「仕事観が変わりました」

杉野希妃

2016.02.05 FRI

今週の彼女

1984年広島県生まれ。10年映画『歓待』、12年『おだやかな日常』、15年『3泊4日、5時の鐘』などをプロデュース兼主演。14年の監督第2作『欲動』で釜山国際映画祭新人監督賞を受賞。長編初監督作『マンガ肉と僕』は、あらがう女性を通して、せつない男女の関係をシニカルに描く。2月13日(土)より全国順次公開
映画『マンガ肉と僕』は、男と女の差異の生々しさにあふれた作品だ。コミュニケーションが苦手な大学生・ワタベ(三浦貴大)の優しさに付け込み、半ば強引に居候を決め込む、太った謎の女・熊堀サトミ。やがてサトミはワタベを奴隷のように支配し、ワタベは解放を望む。それからの8年間を通して、ふたりを取り巻く環境の変化から男にあらがう女の姿を克明に描く。メガホンを取ったのは、特殊メイクを施してサトミを演じた女優、杉野希妃さんご本人だ。

――なぜ、ここまで女性があらがう作品を描いたんですか?

「女性であることや、社会から与えられる肩書きや固定観念の呪縛から逃れられないこととか、制限のなかにある自分にもどかしさを感じていて。それをテーマに映画を撮りたかったんです」

――それを自ら演じることで、さらに克明にした。

「はい。サトミは太ることで男性に対して抵抗していましたが、そのことで自分自身も傷つけてしまいます。もっとしなやかに生きられればいいのに…というメッセージを込めて、シナリオを構成しました」

――現場はどうでした?

「それがすごく楽しくて、大変だったこともあまり記憶にないくらいです!初監督作品でしたし、もう無我夢中でしたよ。自分の出演シーンに関しては映像チェックの時間をもらったり、通常の現場より時間がかかることもありましたが、現場のスタッフや俳優の皆さんの寛大さに助けられました」

――鬼気迫る演技でしたよ。そして三浦さんが非常にうまい。助けられた部分もあるんじゃないですか?

「そうなんですよ! 無関心がゆえに優しく見える情けない男を、時間の流れも含めて微々たる変化を見事に繊細に演じてくれて。できあがった作品は、等身大の私が詰まったと言える作品に仕上がりました」

――ところで、ずいぶん男性を辛らつに描いた作品ですけど、杉野さんも男性が嫌いなんですか?

「そんなことはないです(笑)。けっこうサバサバした性格なので、男性に抵抗感なんてぜんぜんないですよ。こんな私を受け止めてくれる器の大きな方がいれば…という感じです」

――去年、オランダで交通事故に遭い、生死の境をさまよったそうですね。ご自身で「変わった」と思ったことはありますか?

「家族って大事だなってあらためて思いましたし、仕事観が少し変わりました。仕事一筋でいろんなものを犠牲にしてきましたし、それが幸せだと感じていたんですが、ゆっくり色んなことと向き合う時間も大切だなぁって。でも今20歳に戻ったとしても、たぶん同じように脇目も降らず仕事に走り出しちゃうと思うんですけどね(笑)」

吉州正行=取材・文/小島マサヒロ=撮影

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