ブッシュ政権を撃つドキュメント映画

数々のトラブルを乗り越え、いよいよ『華氏911』が公開!

2004.07.15 THU

マイケル・ムーア監督の新作『華氏911』が6月25日に全米公開され、ドキュメンタリーとしては驚異的なヒット。ブッシュ大統領がテロ政策を怠っていたばかりか、ビン・ラディンの一族と親しくしていたことを暴いた内容が話題だ。しかしこれまで、この作品をどれだけのトラブルが襲ったことか!

当初、この作品を製作していたのは、ムーアと同様に熱心なカトリック教徒であるメル“パッション”ギブソンの会社だった。だが共和党支持者のギブソンは、作品内容を知るや撤退。以降ミラマックス社が製作を引き継ぎ、作品は今年春に完成した。

だが、今度はミラマックスの親会社であるディズニーが“政治的に偏向している”ことを理由に公開を拒否。しかしムーアは作品をカンヌ国際映画祭に強行出品し、見事パルム・ドール(最高賞)を受賞。ようやくディズニーもミラマックスの創業者、ワインスタイン兄弟が作品を買い取ることを許したのだった。

ところが今度はSF作家レイ・ブラッドベリから「自分の『華氏451度』の題名を断りなくまねた」と非難されてしまったのである。これに対してムーアは許可なく引用したことを詫びつつもこう語っている。「『華氏451度』(紙が燃える温度の意)は近未来における思想統制を描いた小説だけど、この映画のテーマも全く同じなんだ。というのも、9・11以来アメリカ人は自由に意見を言えなくなってしまった。9・11こそ自由の燃える温度なんだ!」

もちろんムーアに批判的な人間もいる。保守派だけでなくリベラル層にも彼を“単なる人騒がせ男”と見る者がいるほどだ。だが彼は本作によって賛否両論を巻き起こすことで、アメリカ人に自由にモノを言える空気を取り戻したのである。それだけで作品は大成功したと言えるのではないだろうか? 対して僕らの住むこの国はどうだろう。この映画を観ることで“日本の自由が燃える温度”を考えてみるのもいいかもしれない。

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