『ゲーム脳』なんてトンデモ説もあったけど…

懐かし系ゲームには、“癒し”の効用がある?

2004.10.29 FRI

ゲームばかりやってると、だんだん暴力的になり、コミュニケーション障害を併発し、あげく引きこもりになってしまう…。ゲームに対する、こうした偏見は根強い。

数年前にメディアをにぎわせた『ゲーム脳』なる疑似科学系の説もそうだ。「ゲームプレイ時の脳波が痴呆症の人の脳波に酷似していた。ゆえにゲームは危険だ」というもっともらしい仮説だったが、その後の検証によって、ほぼ否定されている。むしろ脳への血流量が増加するとして、ゲーム機を設置する老人福祉施設なども全国に増えつつあるほどだ。サブカルにも強い精神科医として知られる斎藤環さんは語る。

「そもそも脳波というのは、目を閉じたり開いたりするだけで切り替わる程度のもの。少なくとも、物事を考えているか否かの違いを示すものではありません」

ファミコンミニのブームや、NTTコミユニケーションズのゲームサイト『なつゲー』(http://72game.com/)のオープン。新しいゲームに挑戦するより、過去に夢中になったゲームをプレイするほうが楽しい、というユーザーたちが増えていますが…。

「過去にプレイしたゲームへのノスタルジーや、それに触れることによる癒し効果は当然あるでしょう。より単純な造型のキャラクターのほうが感情移入しやすいという認知科学の分野からの研究報告もありますし。ただ、ゲームというのはいわば“奇妙な経験”なんです。音楽や本などのように、いつも寸分違わぬ情報を体験できるわけではない。体験していないことを思い出す、既視感に近いかもしれません。知ってるはずなのに知らない、でも絶対に知ってる。そういう目眩の快感も、なつゲーブームの背景に潜んでいるのでは」(斎藤さん)

最近では、東京大学ゲーム研究プロジェクトをはじめ、ゲームが人に与える影響について本格的に調査・研究を行おうとする動きもいくつか出てきている。ぜひ、懐かし系ゲームの持つ抗いがたい魅力の研究も進めてもらいたいものだ。

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