自主制作から劇場作品公開へ

アニメ界の新しい才能、新海誠監督って何者?

2004.12.02 THU

もし、新海誠という名前を知らないのであれば、頭のなかで3回復唱してしっかりとインプットしてほしい。彼こそ今後のアニメ界の台風の目となること必至の新進気鋭のクリエーターである。

気づかない人も多いと思うが、最近のアニメは、ほぼすべてがデジタル環境で作成されている。急速に進んだ技術革新は、『ほしのこえ』というひとつの作品を生み出した。02年に新海誠監督が、すべての映像をたったひとり(!)で自主制作したこのアニメは、映像、脚本ともすでにアマチュアのレベルではなく、のちに単館上映もされインディーズ作品としては異例の観客動員を記録。DVDは6万5000本というヒットとなり、業界に衝撃を与えた。

その新海誠監督が、ついに全国公開の新作で本格デビューを果たした。現在、渋谷シネマライズ他にて公開中の『雲のむこう、約束の場所』がそれだ。キャストも豪華。主人公の声優には、『北の国から』でお馴染みの吉岡秀隆。脇は萩原聖人、南里侑香などが固める。日本が南北に分絶されたもうひとつの戦後を描くこの作品。前作と違い多くのスタッフが関わっているが、詩的な映像表現と叙情的な新海ワールドは健在。またしても大きな評価を受けそうだ。

自主制作からマニアの話題を呼び、いきなり劇場映画デビューという経緯に『新世紀エヴァンゲリオン』をヒットさせたガイナックスを思い出す人も多いのではないだろうか。まだ一般的な知名度は低い新海監督だが、いずれ大ヒット作を生み出すのではないかとの期待も大きい。何より彼の作品はアニメ的なアレンジはされているが、普遍的なテーマを扱っているからだ。

「アニメを見るのは好きだったけれど、作り手を目指した経験はない」という新海監督だが、すでに作家として独自の視点を持っている。年も31歳と「R25」世代と重なる。デジタル技術が生んだ突然変異の天才はどう成長していくのか。今後も彼から目が離せない。

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