日常に潜む恐怖を鮮烈に描く

究極のスリラー? 青春コミック?『シガテラ』の明日はどっちだ

2005.03.17 THU

やばい。怖すぎる。ガクブルで連載のページをめくり、新刊買っても気持ちの整理がつかずしばらく読めません…。そんな声が高まる注目コミックが古谷実の最新作『シガテラ』だ。

といってもこの作品、超自然ホラーというわけでは全然ない。主人公はイジメられてはいるが、ごくごく平凡な高校生。バイクに興味を持ったり、それをきっかけにすごい可愛い彼女と付き合いはじめたり、字面だけ見ると爽やか青春マンガのような設定だ。傑作『行け! 稲中卓球部』の作者ならではというか、前作『ヒミズ』では極端にセーブされていたギャグも光る。

じゃあ何が怖いのかというと、普通の人間そのもの。彼らの(=僕らの)なんてことない日常に厳然として存在する悪意だ。突発的に噴出する暴力、決して多くを語らない心理描写。どうにも嫌な予感だけがどんどんつのっていく展開は、もはやスリラーと呼ぶにふさわしいほど。

「構想段階での打ち合わせはほとんどしていません。タイトルが決まった時点で、テーマや方向性を含め全体がほぼ固まった。それは“日常の中で誰にでも起こりうる不幸”というものです。テイストとして『ヒミズ』とは違い、少しでも明るいものにしようという事は古谷先生と話し合って決めました」(『ヤングマガジン』編集担当者)

主人公=荻野が案外嫌われない、イジメ役で登場した谷脇が大人気、というのが読者からの反応で意外だった点とのこと。怖くてたまらない、けどこの先どうなるのか知りたくてたまらないのですが…。

「単行本3巻までの流れは、ほとんど最初の構想どおり。4巻以降の展開は試行錯誤しながら、いわば即興のように作っています。しかしテーマがブレるということは決してありませんね。先の展開は、ヤンマガ本誌をお楽しみに、ということで」(同)

どうやら震えて待つしかなさそうだ。ちなみに“シガテラ”とは、神経障害を起こすシガトキシンを有する魚による中毒症のことを指す。

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