坂口安吾、生誕100年

みなさん『堕落論』って知ってる?800字でそのコアを解説

2006.08.17 THU

1946年、ひとつの評論文が話題を呼んだ。坂口安吾の『堕落論』だ。なんでも“戦後”真っ只中だった世間に衝撃を与えたという。…でも僕、知りませんでした。そんな本があったなんて。そして先輩ライターたちは「え~、『堕落論』も知らないの?」と言う。悔しい。これを機に読んでみました。

えっと…、正直よくわからない。もう3回読んでみた。…難しい。結局なにが言いたいの? 『評伝 坂口安吾―魂の事件簿』の著者、七北数人さん、教えて~。

「常識や道徳といった、世の中の決まりごとを鵜呑みにするのではなく、自分自身の感覚で物事を考え、行動しよう、ということでしょうか」(七北さん)

ふ~ん、今となっちゃ結構当たり前な感じもするけど。でも、そもそもなんでそんなことが言いたかったの?

「終戦後、日本は混迷していました。そんななか、当時のモラリストたちは『人心が堕落し、退廃している』と偉そうに嘆いたんですね。そして『つねに清貧、純潔であれ』といった、戦前と変わらない“道徳”を押し付けようとしました。でも安吾は、『それは間違っている』と思ったんです。『良識や政治などに縛られたままでは、人は変われない』と」(同)

確かに「堕落論」のなかで安吾は、天皇制や武士道といった旧来の権威が制度化したシステム、そして「貧しくても清らかに!」なんていう精神論に対して勝負を挑んでいる。そのうえでシステムによって「堕落だ」と否定された「欲しいものを欲しいと言い、嫌なものを嫌だと言う」人間らしい生き方をあえて肯定したのだ。それは60年前のこと。「堕ちよ」の言葉で、人びとの意識が少し変わり始めた瞬間だった。

「システムやマニュアルに押し付けられるのではなく、自分で考え、行動しよう」。確かに今の僕らにも訴えかけるものがある。会社の方針や仕事の進め方にギモンを感じたとき一度読んでみてはいかが? 目からウロコかもですよ。

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