現代音楽の鬼才、ジョン・ケージ知ってる?

演奏終了まで639年?『Organ2/ASLSP』とは

2006.09.14 THU

ある1曲の演奏開始から終了までに、なんと639年もの時間をかけるという、バカバカしくも壮大なプロジェクトが進行している。

場所はドイツの廃教会。639年という演奏時間は、そこに初めてオルガンが設置された1361年から、演奏がスタートした2001年までの時間に由来する。特殊なパイプオルガンを使用、最初の1年半は無音の状態が続き、03年に最初のコード、続いて04年にそれに1音を加えた次のコードが鳴らされた。今年に入って3つめのコードが鳴り、パイプの一部が交換された。

この企画を運営するのは「ジョン・ケージ・オルガン・プロジェクト」という人たち。演奏されてるのは、すでに故人となってるジョン・ケージというアメリカの現代音楽の作曲家が残した『Organ2/ASLSP(As SLow aS Possible=できる限りゆっくりと)』という曲だ。80年代に発表された20分ほどのピアノ曲で、後にケージ自身によってオルガン用に編曲された。今回は、それを639年に引き延ばしての演奏。

しかし、いくらタイトルにそう書いてあるからって、ゆっくりすぎやしませんかね。『世界一受けたい授業』などでジョン・ケージ作品を紹介・解説したこともあり、自身も作曲家にして指揮者、ピアニストでもある青島広志先生によると…。

「作品自体というより、発想の斬新さこそがケージの特徴であり魅力。けれど、今回の演奏は、生前のケージ自身による指示が存在しないなら、ファンによる単なる大がかりな儀式でしかないでしょう。ただ、1年もずっと鳴り続けるような音は、やがて環境音のひとつになり、意識されなくなっていくはず。それは“無音の音楽”を発想したケージ作品の解釈として理解できなくはない。誰も聴き通せない演奏が、音楽と呼べるのかは疑問ですけどね」(青島先生)

詳細は公式サイト(www.john-cage.halberstadt.de/)で確認できる。ちなみに残り199億秒以上。願わくは人類の文明がそれまで継続してますように。

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