ヒューマニズムゼロの漫画

『闇金ウシジマくん』を君は直視できるか?

2006.10.05 THU

人並み以下のクセに人並みに暮らしてる、身の程知らずのクズどもに終止符を打つのが、俺達闇金の仕事だ!!」。そんなキッついセリフの連続である。なにがって、『ビッグコミックスピリッツ』で不定期連載中の漫画『闇金ウシジマくん』のことである。

“闇金”を描いた漫画のなかでも、今作は借金の回収方法が主題ではなく「借金で追い込まれた人間がいかに壊れていくか」に焦点があてられている。たとえば同僚に見栄を張るためファッションやグルメに金を使う小ギレイなOL。彼女は「カウカウファイナンス」(主人公丑嶋君の闇金業者)でわずか3万円借りたため、地獄に堕ちる。借金返済のため会社と風俗をかけ持ちし、髪はパサつき体は痩せほそり、薬に溺れて妖怪人間と呼ばれる存在になるのだ。

丑嶋君は23歳。闇金業者「カウカウファイナンス」社長だ。筋肉隆々の無精髭で見るからにこわもてだが、なぜかウサギを溺愛する一面もある。丑嶋君は債務者のことを「奴隷くん」と呼ぶ。奴隷くんはパチンコ依存症の主婦や、夢だけ求めて何もしなかった30歳フリーター、先輩にたかられるヤンキーなどで、必ずどこかの街にいそうな連中だ。作品の見所は登場人物が壊れていく際の、目つきや表情。これがやたら生々しくて怖い。ギャル汚やヤンキーなどの言葉も妙にリアル。そのあたり著者の真鍋昌平さんに話を伺った。

「街で人が話している時に聞き耳を立てて、聞き手の反応と話し手の語尾に注意して聞くんです。作品中の言葉はそれをもとに書いてますね。テンパッた人は必死になんとかしようと行動している。そこに好感を持って描いているつもりです」

もがけばもがくほど泥沼にハマる奴隷くんたち。そのひたむきな姿が切なく胸に響くのだ。読んでブルーになる人は多いが、それ以上に先が気になるはずだ。下流社会のどん底を描く「闇金ウシジマくん」。格差が広がる現代社会で、果たして君は直視できるか?

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