ジュニア小説なのに30代に人気

江戸時代の萌える和算書『算法少女』を読んでみた!

2006.12.07 THU

『算法少女』という変わった題名の児童書が話題になっている。じつはこの本、ジュニア小説なのに、こ難しい教養書で知られるちくま学芸文庫から出版され、買っているのも30~40代の男女ばかり…。なぜかオトナのあいだで注目を集めて売れているらしいのだ。

「『算法少女』は江戸時代の同名の和算書を題材にした本で、1973年にいちど岩崎書店から出版されたものだったんです。その後、絶版になったのですが、全国の数学の先生たちから復刊してほしいという声があがり、私も読んでみたところ、すごく面白い。それでうちから復刊しようということになった」(筑摩書房・渡辺英明部長)

では『算法少女』とはどんな本か。物語はまず、父から算法(いまの数学)を教わる13歳の町娘あきが、武家の息子の算法の間違いを指摘するところからはじまる。この一件であきは藩主から才能を認められるのだが、武家の息子の師匠は江戸で算法の主流をなす関流のトップ。メンツを潰された関流は藩主に意見具申し、算法勝負を仕かけてくる。だが、あきは身分や性別といった壁を才能とやる気で乗りこえて、算法を広めようと一冊の本を出版する――。

ジュニア小説だけに話はシンプル。しかし、江戸時代に円周率やピタゴラスの定理を勉強していた人たちがいたという発見があったり、歴史小説や啓蒙書として読むこともできる。なにより、主人公・あきの算法にかける思いがけっこう胸を打つのだ。

そう、この本の魅力は物語だけじゃない。九九を習っていた子どものころ。数学の教科書を広げ、因数分解の数式をまえに「こんなことして何になるんだ…」とつぶやいた中学時代。勉強って何のためにするんだろう、と誰もが抱いた難問を解きあかしてくれるのも、この本の良さなのである。

ビジネス用の本を読むのに疲れたら、試しにそっとこの本を開いてみるといい。勉強って何のためにするの? という問いに、『算法少女』はきっとこう答えてくれるはずだ。「面白いからよ」と。


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