男を磨くカルチャー入門

第1回 カルチャーとサブカルの境界線って何?

2009.01.08 THU

男を磨くカルチャー入門


「サブカル」という単語をGoogleのイメージ検索にかけてみると、ご覧のとおり。ほかのページには「サブカルの聖地」として、秋葉原や中野ブロードウェイの画像もありました

サブカルの定義って一体なに?



仕事が忙しいのを言い訳に、最近の私はすっかり文化的な娯楽から遠のきがち。学生時代と比べると、「メインカルチャー」や「サブカル」など、ジャンルを問わず疎くなっているような。が、そういえば文化に「メイン」や「サブ」があるって、なんだか変な感じ。どこかに境界があるってこと? さっそく詳しく調べてみることに。話を聞いたのは、立教大学でサブカル論を教える阿部嘉昭さん。「サブカル」の位置付けを教えてください!

「文化という大きなくくりの中に、純文学や哲学、クラシックなどの高尚なハイカルチャーと、それに対抗する若い人特有のマイノリティな文化サブカルがあるというのが、もともとの位置関係でした。サブカルはマンガや映画、小劇場系の芝居など、当時の若者になじみのあるもので、世代特有の大衆文化だったとも言えます。日本ではガンダムの放映がはじまった1978年をサブカル元年と位置づける人も多い。そのころ、アニメや少女マンガも盛り上がっていて、『ビックリハウス』(パルコ出版)や『宝島』(JICC出版局)のような面白いカルチャー誌も出てきました」

となるとサブカルは昔、かなりニッチな文化だったってことね。でも、最近はそこまでマイノリティでもないような?

「今は、かつてのハイカルチャーとサブカルの境界がすごく曖昧で、サブカルと呼ばれるものの幅がすごく広がってる。簡単に楽しめる作品なら、明治時代でもエロ画像でも、何でもサブカルになりえるのです。ただし、かつてのオタク文化とは紙一重のところで別物。例えば両者は、ものの見方がかなり違う。アニメをベタに溺愛するのがオタク思考なら、サブカル的思考には、アニメにこだわる自分をネタとして高みから捉える、別のシニカルな視点が存在します。サブカルの対象は、作品そのものというよりもデータベースや兆候。それを記号的に操作し、次々と別の情報に目移りしていくフットワークの軽さもあります。こうした感覚の軽さが、1ジャンルにこだわるオタクと違うところ。ただ現在は自分のこだわるサブカルを公言すると、重いと思われるかもしれないという危機感があって、ネタの材料にとどめておこうと自己防衛しているフシもありますね」(同)

なるほど、サブカルの定義自体が時代によって変わってくるんですね。オタク文化との似て非なる違いも納得です。

おさらいすると、サブカルとは、本人が斜に構えて面白がることのできる、お気に入りの文化といえそう。つまり、メインカルチャーとして扱うか、サブカルとして扱うかは自分のスタンス次第ってこと。歴史からエロまで、サブカルとは懐が深~い存在だったわけですね。
東京某所にある書店のサブカルコーナー。「風俗」や「刑務所」「怪奇現象」など、そそられるタイトルがズラリ勢揃い。あなたのお近くの書店のサブカルコーナーは、どんな感じ?

本屋の片隅でサブカル本の現状を探る!



無益かつマニアックな情報満載のサブカル本。本屋に行くと、あれもこれも欲しくなっちゃいますよね。でも、あの本屋ではサブカル棚に置いてあった本が、別の本屋では全然サブカルと関係ない棚にあったり。これってどういうこと? もしかして、どの本屋でもサブカル棚に置いてある本が真の「サブカル」の証!? ということで、どんな本がサブカル棚に分類されるのか、本屋で調査開始!

「大型書店では、分類が細分化されているので、例えサブカル的な要素が強くても、鉄道なら趣味の棚へ、トンデモ本でも科学の棚へ分類されることがあります」

教えてくれたのは、池袋にある某大型書店のサブカル担当さん。となると、すんなりサブカル棚に分類される本にはどんな条件が?

「みうらじゅんさんや、リリー・フランキーさんなど、書店員同士ですでに共通認識があるサブカルスター本なら、すんなりサブカル棚に並びます。つまり、著者によってはその本が小説でも、面白い内容でなくても関係ないということ。その他の本のサブカル要素の判断は、その時々のサブカル担当に一任。私は、世の中をちょっとおちょくったような視点がある本を選んでいます」(同)

うーん、書店員さん個人によってもサブカルコーナーの考え方は変わってくるのね。ちなみにそんな激戦(?)を勝ち抜いたサブカルコーナーには、「サブカルとは何か?」を突き詰めたサブカル論がテーマの本や、世間を騒がせた殺人犯の手記、徹底的に特定の国を批判した本、さらに、ブログ発信のネタ本のほか、UFOや呪いなど超常現象の類、中央線沿線文化の本などが名を連ねていました。

なるほど、これが大型書店にとってのサブカルね。ざっと読んでみたところ、どの本の著者も刺激的なことが書きたくて仕方ない感じ。本当でも嘘でも、面白いなら大げさに言っちゃえ! というスタンスが感じられます。

お次は渋谷の、ワンフロア展開の小さめの書店へ。すいませーん、サブカル棚はどこ? 

「サブカルは分類が難しいので、はっきりと表示せずサブカルエリア的な感じで棚を一列使ってます。端の棚をエロ系と音楽で固めて、真ん中に行くほどサブカル色が濃くなっていくイメージ」とのこと。

何を真ん中に持っていくかは、やはり担当の店員さん次第。ちなみにこちらのサブカルど真ん中の棚には、池袋の大型書店と同じサブカルスター本のほか、ゲイが語るきわどい恋愛論や日活ロマンポルノをまじめに語る映画論本、『きょうの猫村さん』まで、幅広いラインナップが納められていました。

池袋、渋谷、新宿と3エリア、計5書店を調査した結果、おぼろげながら本屋での分類を決める「サブカル本の認定要素」が判明。その感じ方に個人差はあれど、基本的には物事をちょっと変わった視点から面白がる姿勢が高く評価されているよう。

サブカルコーナーには、良くも悪くも実用性のなさがにじみ出ていました。本のエキスパートである書店員さんをも手こずらせる「サブカル」。ハマる人が多いのも頷けますね。 カルチャーを扱う前に、まずは微妙な位置付けの
「サブカル」との棲み分けをはっきりさせようとはじめた第1回。

勇んで調査したものの、サブカルの正体はあくまで曖昧。
それぞれの心のものさしで計るしかなさそうです。

が、前編で先生から学んだ「ちょっと冷めた視点」と、
後編で書店員さんから聞いた「おちょくった視点」には、
共通のものを感じます。

つまり、対象はどんなカルチャーでもいいから、
とにかく変わっていて、なおかつ面白い視点が必要ってことですよね?

さて、次回からはお待ちかねの(?)
メインカルチャーに切り込んでいきます。

「こんな敷居の高いカルチャーはどう楽しめばいいの?」
「カルチャー音痴なオレのかわりに、こんなレポートをしてくれ!」などなど、
ご意見・ご感想お待ちしていますので、気軽に投稿してくださいね。

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