男を磨くカルチャー入門

第3回 ドレスがなくてもオペラに行けるの?

2009.02.05 THU

男を磨くカルチャー入門


画像提供/東京二期会 すでに、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『コジ・ファン・トゥッテ』という、モーツァルトのイタリア語歌劇3部作の演出を手がけている宮本亜門さん。最近は演劇出身の演出家がオペラの演出を手がけることも多いそう

愛して憎んで瀕死で歌う!? 非日常だからこそ面白い“オペラ”



最近テレビで、豪華なドレス&タキシードでオペラ観劇に行く海外セレブを見た私。一度くらい行きたいけど、私にはオペラに行くためのドレスも、オペラを理解するだけの語学力も、知識もないの!! そこで、3大オペラのひとつに挙げられる『ラ・トラヴィアータ』(椿姫)の演出を手がける宮本亜門さんに相談してきました。宮本さんは世界中を飛び回り、芝居やミュージカルからオペラまで、幅広く演出を手がける日本で最も有名な演出家の一人。私、どうしたらいいでしょう?

「オペラはもともと、イタリア宮廷の文化。だから海外では、今でも初日だけはドレスアップする習慣があるけど、日本では服装に決まりごとはありません。ドレスがなければデニムでもいいし、会社帰りならスーツでもいい。せっかくだからちょっとお洒落してみると、もっと場を楽しめるとは思いますが」

てっきりドレスコードがあるんだと思ってました。これでドレス問題は解決! だけど私、日本語以外わからないんです。結局ストーリーがわからないんじゃ?

「海外の作品を日本語上演することもあるし、原語で上演する場合も日本語字幕が出るから、オペラを楽しむのに語学力は必要ありません」(同)

日本語!? 字幕!? それなら映画と同じ感覚で観劇に行けそう! 調べてみると、海外の名門オペラのチケットは、5万円以上のものもあり確かに高価。でも、東京二期会など日本のオペラ団体の公演なら、一番安い席は2000円からで、良い席でも1万円を超える程度。上演時間は平均2~3時間なので、価格的にも時間的にも映画感覚でOKです。でも、大昔の話に感情移入できるか不安で。

「オペラにも悲劇や喜劇があり、今回演出する『ラ・トラヴィアータ』は、悲劇の代表格。女と男が愛して憎んで、死にそうなのにまだ歌う(笑)。そのありえない感じも含めて、オペラの面白さだと思ってください。ここ数年、日本でもオペラに芝居の要素を多く取り入れた形態が主流になっていて、現代人でも感情移入できる作品が多いんです。立って歌うだけがオペラだと思って観たら、きっと驚きますよ」(同)
画像提供/東京二期会 以前、宮本亜門さんが演出を手がけた『フィガロの結婚』の一場面。こちらは喜劇の代表格。起承転結がはっきりした悲劇に比べて、喜劇は笑いのツボがわかりにくいこともあるとか…
芝居の要素が強いのは、ドイツオペラからの流れとか。オペラも、上演するお国柄が出るんですって。最後に、R25世代に向けてオペラの楽しみ方を教えてください!

「オペラは、歌や芝居、音楽はもちろん、衣装や舞台装置まで楽しめる総合芸術。とはいえ僕も、中学生のころ初めて観たオペラでは、休憩時間も通して爆睡でした(苦笑)。でも、2回目からハマりました。だから楽しみ方なんて考えず、一度きりの人生、何でも試してみなきゃ。世界中で何百年も愛されるものには、それなりの魅力がある。食わず嫌いはもったいないですよ」(同)

オペラの演出家さんに言われたからには、もう安心! ドレスもタキシードもないけれど、会社帰りに堂々とオペラ観劇、行っちゃいましょ。
宮本亜門さん演出のオペラ『ラ・トラヴィアータ』の練習現場。出演者の皆さんは、舞台狭しと動き回り、美しい声で歌っていました。ちなみに、練習場の窓ガラスは1枚も割れていませんでした。強化ガラスなんでしょうかね

ワタシにもなれる!?オペラ歌手の実態に迫る



萌え系アニメの登場人物のようなフニャフニャした声は、私のコンプレックスのひとつ。だからこそ、ガラスも割るというオペラ歌手の力強い声は、永遠の憧れです。私だって、オペラ歌手みたいな声を出したい!! ということで、さっそくオペラの練習場で、現役オペラ歌手の皆さんを直撃! 私、今からでもオペラ歌手になれますか?

「可能性はありますよ。音大出身者が多いですが、合唱サークルに入ったのがきっかけでオペラ歌手になった、という他学部出身者も珍しくありません。僕も音楽教師になるつもりだったので、教養学部出身です」

こう教えてくれたのは、世界で最も上演回数の多いオペラのひとつ『ラ・トラヴィアータ』(椿姫)でアンダースタディを務める大沼徹さん。アンダースタディとは、実力ある若手歌手のポジションで、公演の稽古に出演者とともに参加し、研修するというもの。公演自体には出演しないものの、主役級の先輩陣の稽古を間近で見られる貴重な機会。将来、役がもらえたときには、アンダースタディでの経験が生きてくるのです。

それにしても、オペラ歌手に音大出身以外の人がいるとは、ちょっとビックリ。音楽の英才教育を受けた、上流社会の人限定の世界というイメージでしたが、意外といろんな人がいるのかも。公演以外の期間は、やっぱり練習漬けですか?

「喉を休めることも必要だし、騒音の問題もあって、家ではあまり練習できないですね。楽譜を読んで勉強することが多いです。普段は会社の受付をしてるので、公演期間以外は皆さんと変わらない生活です。公演自体が少ない日本では、オペラ歌手だけで生活できるのはほんの数人。どんなに有名でも、学校の講師を兼ねている人がほとんどです」(アンダーの青木エマさん)

えー、受付嬢!? と驚いたものの、聞いてみると事務員や皿洗い、宅配便のお兄さんなど、皆さんいろんな裏の顔(?)をお持ちのよう。また、いつも職場で付けられるあだ名がオペラという笑い話も。うーん、オペラ歌手って結構大変なんですね。
アンダーの青木さん(写真左)と嘉目真木子さん(写真右)から、熱血指導を受けるワタクシ。お二人ともスリム&スレンダーで、縦にも横にも大きい昔のオペラ歌手のイメージを覆してくれました。体型と声量は、あまり関係ないんだそうです
職業としての難しさを感じつつも、オペラ歌手のような声を出す、という当初の目的を果たすべく、ご指導お願いします!

おへその下に力を入れて、口を大きく開けて、目線はいつもより少しだけ上に。丁寧に教えていただきましたが(写真参照)、大きい声すら出ません! 当たり前ですが、一度くらいのトレーニングじゃムリですね。せめて、皆さんが普段心がけていることを教えてください。

「私は普段から、タバコは吸わないこと、公演前はお酒も飲まないことを心がけています。あとは、体力づくりですね。最近のオペラ歌手は、歌うだけでなく演技力が求められるので、歌いながらアクティブに動ける持久力が必要なんです。優雅なイメージがありますが、演じる側からいうとオペラはスポーツですよ」(アンダーの嘉目真木子さん)

三度の飯より酒好きで、運動嫌いの私。基礎が全くなっていなかったようです。仕方がないので、まずは禁酒から! 体力つけて出直してきます。 オペラに行きたいけどドレスも教養もないのと、
シンデレラのような気分で始めた、本コラム。

聞いてみると、思っていたよりもカジュアルで
初心者ウェルカム! なオペラの現状がわかりました。
避けていたのは私の方で、
オペラはいつでも受け入れ体制万全だったんですね。

それならば! と、後編では
オペラ歌手になることを夢見てみましたが、
こちらの方の道は険しそうです。
仕方ないので、しばらくはこのアニメ声と付き合っていきますよ。
(トホホ)

というわけで、今回も異世界の皆さんと
心の交流を図ることができました。
なんだか私、だんだん文化的に潤ってきている気がします!

今後も、あっと驚くカルチャーをレポートしていきますので、
ご意見ご感想のほど、よろしくお願いします。
「オオタカのレポート見て、オペラ行っちゃったぜ」
的な熱~いコメント、お待ちしてます!

東京二期会劇場

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