あの時の話、聞かせてください!

第2回 IZAM、SHAZNAを語り尽くす!

2009.02.25 WED

あの時の話、聞かせてください!


撮影/Sumie やや短かめの黒髪、デザインに凝ったストライプ柄のシャツにシックなベスト。ファッションには今もこだわっている

結成、デビューから活動休止まで・・・SHAZNAの活動秘話をIZAMに聞いた!



名曲『Melty Love』、『すみれ September Love』の連続ヒットで華々しくメジャーデビュー。女性と見まごうようなIZAMさんの美貌とキャッチーな楽曲でスターダムにのし上がったSHAZNAが、ついに今年3月22日に渋谷O-EASTで行われるライブ『-完結。LAST LIVE』をもって解散する。

「SHAZNAはメンバー全員が人生ではじめて組んだバンドで、青春をかけてやってきたから、解散を決めたときは落ち込みました。2日くらいでしたけど(笑)。基本的に僕はポジティブなので、落ち込んでもすぐ立ち直るんですよ。メンバーそれぞれの活動があるし、方向性の違いもあるので、解散は前向きに考えて出した結果なんです。それでも、SHAZNAがなくなるというのは、家がなくなるようなもので。16年もやってきたバンドだし、それこそインディーズのころは何度も挫折しそうになったというか本当に挫折してましたから(笑)。それを考えると、やっぱり自分にとってSHAZNAは大きな存在だったんだなあって思いますね」

はじめから順風満帆なバンド活動ではなかった、とIZAMさんはいう。メジャーデビューまでの苦難は、書籍『ホームレスヴィジュアル系』に詳しい。

「22歳ぐらいの時は、もうホントにメンバー全員が、電気とかガスの料金も払えなくてライフラインを止められて。誰かひとりなら『お前、最悪だな(笑)。じゃあウチ来いよ』で済んだんですけど、それもできない。バイトしても、給料3カ月分を踏み倒されたりして。バイト代が出ないと知ったその日の夜がドン底でしたね。家に帰ったら、家賃払えって催促の手紙がはさまってるし、真冬で雪が降ってるんだけど暖房つかないし。心が折れそうというより、ポッキリ折れました(笑)」
ピンクのロングヘアーをおだんごにしたメジャーデビュー当時のIZAMさん。化粧も衣装も楽曲もポップでカラフルなイメージを追求した
バンド活動は、意外にお金がかかるもの。機材やツアーの費用でバイト代は消え、100万単位の借金も抱えた。生活に限界を感じたIZAMさんは、1年だけバンドを続行することを決意し、SHAZNAの核となる1曲を作って、自分たちですべてをプロモーションするという『一年計画』をメンバーに提案する。

「これでダメならバンドは辞めるつもりでした。普通にサラリーマンをやってたかもしれないですね。営業とか。そういうの得意だし、嫌いじゃないんです(笑)。バンドでも営業担当みたいなものでしたから。そのときに女装っぽいこともはじめたんです。人と同じことをやってても目立たないし、楽曲がよければ絶対アピールになると思ったので。周囲からはチャラチャラしやがってみたいにいわれましたけど、逆にSHAZNAのイメージが明確になりました」

核となる1曲『Melty Love』を収録した自主製作のミニアルバム『Melty Case』は3000枚を完売する勢いで売れた。メジャーデビューが決定し、あらためて『Melty Love』をデビューシングルとして97年に発売するや88万枚のヒットに。SHAZNA現象が始まった。

「ようやくこれまでの苦労が実ったかと。長かったですね、結成からの4年間は(笑)。ただ、売れたら売れたで自由がなくなるんですよ。ありがたいことだけど、尋常じゃないほど忙しくなって睡眠時間は1~2時間。一時期は、周りにSPやらマネージャーやら、ぐわーっといて普通にファンと会話もできない。今のスタイルに飽きたから、パンクバンドになりますっていったんだけど、当然却下で(笑)。このままだったらいつか飽きられるし、現状維持って大嫌いだったから」

メジャーデビューから3年後の2000年。SHAZNAは活動を休止した。
撮影/Sumie お子さんの話を振ると温和な表情に。「子育ては大変だけど、父親として輝いている姿を子どもにもファンにも見せていきたい」とニッコリ

バンド復活、結婚、解散ライブ・・・SHAZNAを率いたIZAMの胸中とは?



SHAZNA現象とも呼ばれる空前の人気を得たSHAZNA。しかし、有名になればなるほど自由な活動ができなくなっていく状況に、IZAMさんはSHAZNAの活動休止を宣言する。

活動休止から復活までにかかった期間は、じつに6年。2006年、再びSHAZNAとしてステージに立ったIZAMさんは、女形のイメージを封印していた。

「活動を休止した翌年から、僕は『そろそろ活動再開しない?』っていってたんですけどね。気が早い(笑)。SHAZNAを休止している間もメンバーには会ってました。毎年、忘年会は必ずやろうといっていたので。6年もかかったのは、なかなかメンバーのテンションが合わなかったというか活動再開の前年、2005年の忘年会で、やっと「やろう!」ってみんなの意見が一致して。やるなら、僕らのやり方を理解してくれるスタッフだけで、好きなことだけをやろうということで再開したんです。メジャーにしてくれたスタッフには感謝してますけど、また同じようにバンド運営についてあれこれいわれたら休止前と変わらないから。女形のイメージを封印したのは、単に飽きてたんです(笑)。髪も切っちゃっていたし」

記念すべき活動再開の年は、くしくもバンド結成10周年を翌年に控えた年だった。プライベートでも、IZAMさんは結婚という節目を迎える。2007年には、シングル『心』、10周年記念アルバム『10th Melty Life』、ベスト盤『SINGLE BEST SHAZNA&IZAM』を矢継ぎ早にリリースした。

「活動を再開してみて、ちょっと地味かなとも思ったんですけどね。僕らのルックスが(笑)。僕が女形をやめたというのもあるんですけど、ほかのメンバーも地味になったんですよ。衣装が地味になっただけじゃなく、ベースのNIYくんが年をとりすぎなんじゃないかって(笑)。復活してからのミーティングでは、そればっかりネタにしてました。ちょっと肌の手入れをしようよとか、髪ももうちょっとさ、みたいな。ブレイクしたころと比べて一番変わったのはそこかな(笑)。あとは僕自身、子どもができて、責任感は大きくなりましたね」

活動再開から3年目となる今年3月22日。渋谷O-EASTでのライブを最後にSHAZNAは解散する。解散ライブは女形を復活させ、ヒット曲を詰め込んだファンへの最後のプレゼント的な内容になるそうだ。
撮影/Sumie 成長して大人の顔にはなっているけど、キュートなルックスは相変わらず。最近はオリジナルファッションブランド『YOSHIKA MICHAEL』のプロデュースも務める
「解散ライブで全曲新曲なんて馬鹿げてると思うし、ファンにも失礼だと思うから。このバンドが解散するなんてもったいないって思われるライブにしたい。もちろん僕も楽しみたいので、もう一度かつてのSHAZNAワールドを作るつもりです。僕ひとりだけ昔の姿に戻って、ほかのメンバーは今のスタイルでなんて話もあったんですけど、それは『NO~!』って僕が反対して(笑)。メンバーは『いや、衣装代がかかるから』なんていってましたけどダメですよ。確かに、衣装代はかかるんですけど。ここだけの話、僕だけで、ひとつの衣装に100万円はかけてましたから。ヴィヴィアン・ウエストウッドの手に入りにくいデッドストックとか、服にもこだわっていたので。ほかのメンバーも40~50万円はかかるんじゃないかな。一見普通のスーツなんですけどね(笑)。でもディテールが大事だから。あの世界を作るなら、そこまでやらないと」

解散後、ギターのAOIさんは、シンガーソングライターとしてライブ活動を中心に、積極的な音楽活動を続けていく。ベースのNIYさんは舞台俳優へ挑戦する予定だ。さて、IZAMさんは?

「活動停止のころから役者としての活動はしてましたけど、もっとしっかりやっていきたいというのがひとつ。音楽に関しても、ずっと続けていくつもりです。それがバンド活動なのか、どういう形になるのかはまだわからないけど、自分がやってみたいことを素直に表現していきたいですね」

IZAMさんがたどってきた道は、決して平坦なものではなかった。メジャーデビュー前の極貧生活はもとより、SHAZNAの6年にも及ぶ活動休止、役者としての活動や書籍の出版、復活そして解散。あまりにも濃密な人生だ。

IZAMさんはいう。立ちふさがる壁なんて自分の拳でぶち壊して進めと。
これからもIZAMさんは、道なき獣道を突き進んでいくに違いない。

IZAMプロフィール
1993年、ベーシストNIY・ギタリストAOIとともにSHAZNAを結成、ボーカルを担当。1997年「Melty Love」でメジャーデビュー。一風堂の「すみれSeptember Love」をカヴァするなど次々にヒット曲を生み出す。2000年、SHAZNAの活動休止後は、役者や小説『ミラー・ボーイ』の出版など、多方面で活躍。2006年、SHAZNAの活動を再開。2008年、メンバーとの合同著書『ホームレスヴィジュアル系』を出版。その発売イベントにおいて、SHAZNAの解散を発表。2009年3月22日のShibuya O-EastでのライブをもってSHAZNAは解散予定 あの華麗なる女形のボーカリストに、苦難の歴史があったとは。
強靱な意志の力があったとは。
当時は、まるで想像できませんでした。
苦労など経験したことのない王子様かと思っていた人も多いはずです。
よっぽど自分の方が、安全でスイートな人生を歩んできたんだなあ、と考えてしまった次第であります。

しかし、不況の嵐が吹く昨今。僕らの足元もグラつく今だからこそ、IZAMさんのような自分で自分の道を切り開く生き方には、学ぶものがあるんじゃないでしょうか。インタビューの感想やSHAZNAの思い出など、お便りいただけるとうれしいです。

さて次回は、IZAMさんとはまた別な意味で、カゲキな人生を送る作家・志茂田景樹さんにご登場いただきます。お楽しみに。
ではでは、また!

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