あの時の話、聞かせてください!

第4回 アダモちゃんこと島崎俊郎の芸人魂!

2009.03.25 WED

あの時の話、聞かせてください!


この一見朴訥そうな熟年紳士の正体がアダモちゃんだとは!?  家族や教育といったテーマで講演活動もこなすというから驚きだ。しかし、講演でも必ず笑いはとりにいくとか

名物キャラ“アダモちゃん”その誕生秘話を島崎俊郎が明かす!



伝説のお笑い番組『オレたちひょうきん族』で、アダモちゃんという特異なキャラクターを生み出した島崎俊郎さん。昨年の『FNS27時間テレビ』で、明石家さんま率いる「ひょうきんオールスターズ」の一員としてアダモちゃんが出演したのは記憶に新しいところだろう。そして今年4月10日! 『アダモちゃんおそらく誕生25周年記念DVD 1万台の監視カメラが捉えた衝撃の映像 私はアダモちゃんを見た!!』をリリースする。

「アダモちゃんも25年ぐらいやってきてね。DVDが出るとは思いませんでしたよ。リアルタイムならわかりますけど、今出すっていうんですから。DVDの内容はネタばれになっちゃうんで、あまり詳しくはいえないんですけど、今、いろんなところに監視カメラがあるじゃないですか。そのカメラになぜかアダモちゃんが映っていたそういうテイストのものです。あとは、某番組でスザンヌが自宅紹介するVTR映像で、窓の外にアダモちゃんがいたとか。クライマックスは、ダチョウ倶楽部との決闘ですかね。これも内容はいえないんだけどってこれじゃ宣伝にならないよな。ただ、お客さんに笑ってもらうことが商売ですから。それは使命だと思うから。一所懸命バカやってます」

25年の歴史があるアダモちゃんだが、そのキャラはほとんど偶発的に形成されていったものだったという。そもそも『ひょうきん族』という番組からしてライブ感覚を大事にしていた。
アダモちゃんに扮する島崎俊郎さん。親父さんの口癖である「ペイッ!」は、酒を飲みながらの愚痴で「アイツはホントに…ペイッ!」という用法であったようだ
「ひょうきん族のキャラは、ほとんど全部そうなんだけど、作家さんが企画を練って作ったものじゃないんですよ。楽屋とか酒の席でのバカ話で『それ面白いね』なんていってると、翌週にもう衣装がある。アダモちゃんも、なんか台本にポリネシアン・ダンサーが出る。大暴れ。大爆笑のうちに去るぐらいしか書いてなくて。最初はただのポリネシアン・ダンサーだったんです。それで何回か出たんですけど、僕だけぶっつけ本番なんですよ。まあ、基本的にあの番組は綿密なリハなんてないんですけど。で、なぜかポリネシアン・ダンサーが芸者で呼ばれるって設定があって。合図がきたんで、そろーってふすまを開けてね。日本語で『こんばんは』っていうわけにもいかないんだけど、何も考えてないんですよ、こっちは。そしたら、本能的に『ア~ダ~モ~ス~テ~』って、ためて、ためてね。力入れて。『ペイッ!』ってやったらスタジオ、ドーンとウケてね。『じゃ、また来週も』みたいな感じで。『ペイッ!』ってのは親父の口癖です。それがスタジオで追い詰められたときに無意識に出てきたんです。計算してないんですよ。計算されてない面白さがアダモちゃんにはあったんでしょうね。そんなキャラクターに出会ったというのは自分のなかで誇りですよ。たいしたもんだな、アダモちゃんはって思いますね」

そんな島崎さんも、『ひょうきん族』が終わったときは「これでアダモちゃんともお別れか」と思ったという。ところが、その後もアダモちゃんをやってくれ、という依頼が続くことになる。それこそ25年も。

「いや、3~4年は違和感がありましたよ。またですか、昔のキャラじゃないかって。でも需要があるんで、何も考えないでやってるうちに開き直って、全然抵抗感はなくなりました。今では、アダモちゃんに頼ってる自分がいますよね。アダモちゃん依存症。これだけつきあってると自分の一部ですね。表は島崎俊郎ですけど、裏をめくればアダモちゃんですよ」

アダモちゃん依存症というが、島崎さんの仕事はもちろんアダモちゃんだけではない。とくに『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』において、特殊リポーターとしての地位を築くことになる。
「笑いっていうのはエスカレートするものだから、結局ほとんどの動物と絡みましたね」と島崎さん。しかしゴリラだけは、絡みようがなかったそうだ

人を喜ばすためなら最低なこともやる…島崎俊郎が見いだしたお笑い哲学とは?



アダモちゃんという名キャラクターを生み出した島崎俊郎さん。しかし、彼が守りに入ることはなかった。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』では、日本初の芸能人バンジージャンプにチャレンジ、トラのキスマークを奪う、ワニとプロレス、ライオンの尻尾で書き初め、シマヘビ2000匹のプールなど、命がけのリポーター業を確立する。

「保険にも入らされましたからね。しかも、企画書を見て保険屋さんが躊躇するような危険な企画。芸に関する考え方は、100人芸人がいたら100通りの考え方があると思うんですけど、僕にとってはトラと絡むみたいな企画はひとつの勲章です。動物と絡むリポートってのは大変ですよ。打ち合わせもできないし、段取りも相談できない。何をするかわかりませんからね。ある日、プライベートで子どもと動物園に行ったら、全員共演者なんです。業界的には『おはようございます』といわなければいけないところですよ。白熊とゴリラくらいだったかな、絡んでなかったのは。僕は、芸人って人を喜ばすためならどんな最低のことでもやらなきゃいけないと思うんです。最終的に芸人は面白いか、面白くないかじゃないですか。いろんな考え方があるんでしょうけど、底辺に最低なこともやれるっていうものがある芸人の方が、面白さの度合いが全然上だと僕は思います。お茶の間で指さされて、『ホント、バカだな(笑)』っていわれたら最高の褒め言葉ですよね」

その芸に対する姿勢が生まれたのは、島崎さんがコントトリオ・ヒップアップを組んでいたころ。当時、ライバルとされていた渡辺正行率いるコント赤信号の存在を意識したときだった。
4月リリースのアダモちゃんDVDのジャケット見本を持ってパチリ。いつものお笑いタレント島崎俊郎のスイッチがオンになった瞬間である
「古い話ですけどね。僕ら、ものすごく人気があったんですよ。女のコにキャーキャーいわれて。で、会社は『お前らはアイドルだ。爽やかにならないかん』って方針になった。そうなると、芸人なのにアイドル的に立ち回らなくちゃいけなくなって。自分のなかに規制ができるわけですよ。あれもこれもできない、みたいに。コント赤信号なんかは、なんでもやってやるってパワーがあったから、絡むとひとたまりもなく負けちゃうんです。それで、くそーと思って。それからですね。誰がアイドルだ! よし、日本一最低なタレントになろう! と本気で思ったのは。その裏返しでいろいろ危ないシリーズをやることになるんですけど」

芸人としての本分に立ち返った島崎さんがたどった道は、これまで語っていただいた通りだ。自ら最低という仕事に飛び込み、長いあいだ芸能活動を続けてきた島崎さんだが、今後どこへ向かうのか。

「まだ、守りに入る気は全然ないですね。ベテランといえばベテランなんで、気がついたら神棚にあがっちゃうんですよ。そうなってパンパンと手をたたかれるようになったら芸人としてはおしまいですよね。もう、年齢的に昔のようなネタは体がついてきませんから、ワニとはもう絡みたくないですけど。ただ、お笑いタレント島崎俊郎、アダモちゃんというのは、これからも続けていくでしょう。そのうえで、島崎俊郎をいろんな角度からマルチにみせていければいいなと。芝居も面白くなってきたし、音楽活動も続けていきたいですしお笑いという武器があってこそですけどね。メディアもマルチになってるじゃないですか。CSもある、DVDもある、もちろん地上波もあって。そりゃ、ゴールデンで司会やるのが一番金になる(笑)けど、そんな簡単なものじゃないですから。僕は僕なりに記憶に残るような仕事がしたい。そして、いつまでも現役でいたいですね」

ふざけたパフォーマンスとは裏腹に、お笑いに対して異常なまでに真摯である。人を笑わせることがなにより好きである。お客さんが喜んでないということが心底嫌なのである。

人間を知らなければ、笑いなんかとれるわけがない。
お笑いで売れている人間で、心の底から悪い人間は一人もいない。

そう、島崎さんはいう。自分も職場の片隅ででも、誰かを笑わせてみたい。そう、思った。 デビューから30年。島崎さんは暴走機関車のように、お笑いの世界を駆け抜けてきました。唐突ですが、島崎さんはダチョウ倶楽部を評価していると公言しています。理由や理屈じゃない、お笑いの原点がある芸人だと。それは、そのまま島崎さんにも当てはまる言葉だと思います。

私見になってしまいますが、いつまでもバカがやれる芸人。それこそが本当の芸人なのではないでしょうか。

この企画は、毎回インタビューの感想やご意見を受けつけています。気楽にお便りくださいませ。さて次回は、ディープパープルなどの王道直訳ロックで、音楽界に衝撃を与えた王様が登場します。ご期待ください。

ではでは、また!

■島崎俊郎プロフィール

1955年生まれ。京都府出身。1979年にお笑いトリオ・ヒップアップを結成。漫才ブームの後半から頭角をあらわし、『オレたちひょうきん族』のアダモちゃん役が大きな反響を呼ぶ。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』にレギュラー出演し、様々な危険な企画に挑戦。以後、主にリポーター業を得意とし、最近は舞台、ドラマ、音楽活動とマルチな活動を続けている。

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