万が一のためのファッション講座

第8回 危機に備える! 最新防御ウェア事情

2009.05.15 FRI

万が一のためのファッション講座


砂状の鉛を入れて、大幅に防刃性能を高めたブレードランナーのグローブ。厚いパッドが刃物から守ってくれます。人はついつい手で防御してしまいがち。切りかかってくる刃物を手でつかみやすい。9800円

最新防御ウェア事情2009



新聞やニュースで毎日のように様々な事件が伝えられていますよね。そのなかでも怖いのは、直接的に僕たちの生活を脅かしそうな通り魔や無差別殺傷事件。これは突然の出来事だから、防ぎようもない。ならばせめて、洋服で身を守ることから考えてみよう。さて、身を守ることができる防御ウェアってあるんですか?

「治安の良くない国では犯罪などから身を守る防御ウェアは結構普及しています。日本で手に入れられるもののほとんどは、アメリカやイスラエル、ヨーロッパからのインポート物です。大きくは、防弾と防刃に分けられますが、日本では、銃社会であるアメリカ等と違って防弾ウェアのニーズは低く、やはり防刃ウェアが中心になります。防弾ウェアは20万円くらいしますが、防刃ウェアは2、3万円くらいから買えますよ」

と教えてくれたのは、刃物対策用品などの紹介しているウェブサイト、防刃ドットコムさん。日本でも銃を使った事件が増えているようですが、より身近な問題として考えたいのは、やはり刃物での殺傷事件ですよね。

「90年代になってから、日本にも防御ウェアが入ってきましたが、当時はまだ警備会社など限定された企業だけが購買層でした。当店では売れても月に1、2着程度。でもそれが劇的に変わったのは、実は約1年前に起きた秋葉原無差別殺傷事件なんです。その直後には、一般のお客さんも防刃ウェアに興味を持つようになって、多いときで週に10着くらい売れていました」

確かにあれは衝撃的な事件でした。

「でも防刃ウェアを着ているからといって、100%身を守れるわけではないことを理解しておいてください。刃物で切りつけられる場合には、ある程度の効果を発揮しますが、アイスピックやキリのようなもので突き刺されたら危険です。その場合は、より防御能力の高い防弾ウェアが必要ですね」

なるほど、過信は禁物。でも着ていないよりは着ている方が、気持ち的も安心です。実際に防刃ウェアを買いたいんですけど、どんな種類がありますか? そもそもドコを守ればいいの? やはり頭!?

「そうですね。まずは致命傷となってしまう場所、つまり頭と上半身です。さらに、後ろから不意に攻撃される場合を除き、人はどうしても反射的に手を出して守ろうとします。だから手ですね。頭を守るにはヘルメットしかないんですが、日常生活で被っているのはちょっと難しい。普段の生活で取り入れられるのは、ジャケット、ベスト、シャツなどです。それに加えてグローブが有効だと思います。昨年末から今年にかけて、タクシーの売上金目的の連続強盗事件がありましたよね。あの事件以降、タクシー会社から防刃グローブのオーダーが増えました」

日本でも、防御ウェアの需要がかなり伸びてきているというのは悲しい現実。
でも本当はそんなものに頼らない世の中であって欲しいですけどね。
このベスト、ネクタイして、さらに前を閉めちゃうと、やっぱり“警備にあたっている刑事さん”みたいな雰囲気です。でもカジュアルにはおる感じで着こなせば、どうですか? 結構自然でしょ。腹部を360度パネルが被っていて防刃効果も高い一着。2万9800円

日常でオシャレに着られる防御服コーディネートを知りたい!



昨今、刃物での強盗や通り魔事件がよく伝えられていますよね。そんなときにニュース映像で見かける警察官や機動隊のスタイル。あのごついベストやジャケットって、もちろん身を守るための防御性能が高いウェアですよね。でもいくら安全とはいえ、現実問題として普段からあんな格好をしているワケにはいきません。それなら身を守りつつ、オシャレな防御ウェアが欲しい! と思い、調べてみると、普通に着ていてもおかしくない防御ウェアが結構あるようです。さっそく防御ウェアや防犯グッズを扱っているアキバガレージに試着しに行きましたッ!

「最近では時代背景からか、一般ユーザーに向けたデザイン性の高いウェアが増えています。刃物から身を守る防刃ウェアは、ここ数年で技術がかなり進化しているんです。2、3年前は鉄製のプレート入りで5、6kgあった防刃ベストが、今はFRPのような強化プラスチックなどを使用して2、3kgになっています。重いと一般ユーザーには受け入れられませんから」

と、アキバガレージ店長の渡辺 誠さん。じゃあ早速それを試着させてください。見た目はシンプルだけど、すこしゴツイですね。手に持つと若干重いかも。でも着てしまえばそれほど重さは感じませんね。毎日ノートパソコンを持ち歩いていることを考えると、同じくらいの重さってところでしょうか? 今日着ていたシャツにピッタリ合うかも(写真右上)。

「胴回りに360度プレートが入っているので、どうしてもふくらんでしまいますが、なるべくジャストサイズで着るようにオススメしています。そうすればそれほど違和感なく着られます。刑事などは制服ではなく私服で活動していますよね。スーツなどのインに着ても目立たないように、薄手のものやタイトなもの、そして普段着感覚のものが増えてきているんです」

確かに刑事はスーツが多い!? そのうち『太陽にほえろ』のジーパン刑事よろしく、防刃ジーンズなんてできちゃうかも。え、Tシャツやパーカは、もうあるんですか?
グラフィカルな柄がクールなブレードランナーのパーカ。もちろんこれも防刃ウェアです。ストリートファッションとして、何の問題もなく着られますね。ダボッとリラックスして着こなすのがオススメです。2万5000円
「防刃ウェアが進化する過程で、プレートと同時に繊維が進化しています。ケブラーやスペクトラ、アラミドなどという通常より切れにくい繊維を編み込んだ布になっています。これなら、通常のウェアと変わらず、重くないし動きやすい。いろいろな用途に応用できます。最近特に人気があるのが、ブレードランナーというイギリスのブランドで、Tシャツやパーカなどを発売していますね。かなりファッション性が高いので普段着として使えます」

ではでは、パーカを試着(写真右下)。まったく普通です。いや、むしろかっこいいです! それもそのはず、表面は普通の綿素材で、内側にケブラー繊維が編み込まれているのです。あまりに普通すぎて、ちょっと拍子抜けしちゃいました。でもコレは、はっきり言って普段でも使える!

まだ限られたメーカーだけが、オシャレ防刃ウェアをリリースしているそうなので、全身防刃ウェアってわけにはいかないけれど、普段着にひとつ防刃ウェアをプラス、っていうくらいなら現実的にアリかも。オシャレなうえにちょっと自慢もできちゃうし、なにより安全。コーディネートのポイントとして、「シルエット」でも「色」でも「小物」でもなく、これからは「防御」が最先端なんて時代がやってくる!? 防御ウェアは戦争とともに進化します。

かつてはベトナム戦争。いまはイラク戦争。

今回取材したアキバガレージの渡辺さんも言っていました。
「売り上げが伸びるのは、正直、複雑です」

売り上げが伸びるのは、
防御に対するニーズが増えていることに他ならない。
つまりそんな世の中になっているという裏返し。
あぁ複雑デス。
今回、ファッションを通して社会背景を感じることで
少しおセンチになっちゃいました。

さあさあ、重たい空気を吹っ飛ばして、
次回以降も注目ネタが目白押し!
まだまだファッションに対するナゾや疑問を受け付けていますので、
バシバシ、ドシドシ投稿してください!

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