万が一のためのファッション講座

第11回 最新スポーツウェアってどうスゴイ!?

2009.06.26 FRI

万が一のためのファッション講座


スポーツ以外にも、冒険家の服や宇宙服、さらにはコンドームまで、様々な「エクストリームウェア」を掲載。生活を変えるほどの究極の服を作り出す人々の想いが、数多くの取材によって紹介されている。『エクストリーム・ウエア 究極の服をつくる技術』佐藤聡 著(技術評論社)

トップアスリートが着る最先端ウェアって?



世界記録を出したのに、残念ながら(世界水連に)公認されなかった背泳の入江陵介選手。水着が正式に認可されたものではなかった、という理由でしたが、例えばウェアによる0.1秒の違いって、トップアスリートは実感できるんでしょうか?

「素人にはわからないような微妙な差でも、着ている本人たちの感覚としては、かなり違うようです。トップアスリートは、好記録が出たかどうか、競技の途中でわかるらしいですからね。ですから、コンマ1秒以下の世界で戦う競技、例えば陸上短距離選手、競泳選手、F1ドライバーなどは、0.1秒の違いは、大きな感覚の違いとして実感しているはずです」

と教えてくれたのは『エクストリーム・ウエア 究極の服をつくる技術』の著者である佐藤聡さん。

僕たちがウェアの技術進歩を大きく認識したのは、やはりスピード社のレーザーレーサー騒動から。レーザーレーサーは何がすごいんですか?

「一番革新的だったことは、その考え方です。これまで、例えばイチロー選手だったら、イチロー選手仕様の完全なるオーダーメイド。彼のことを研究し尽くした、シューズを作る専門家、バットを作る専門家がいるわけです。でも、スピード社のレーザーレーサーには、北島康介モデルもマイケル・フェルプスモデルもありません。S・M・Lの3サイズしかなく、極端に言えば、速く泳ぐためには、この水着を着られる体型になってくれ、というものなんです」

意外です。当然のように、それぞれの選手に合わせたウェアを開発しているものだと思っていました。速く泳ぐための究極の形を作り、それに合わせた体になれ、と。でも、なんだか科学に負けた気がして複雑です。

「特にここ10年くらいで、スポーツメーカーやアスリートと協力していろいろな素材などが開発されています。脱臭性能やUVカットをはじめ、アロマの成分を入れたり、ビタミンが入っている生地なんてものも出ています。最先端のものとしては、知能繊維とでもいうべきMRTファイバーというものがあります。肌の湿度を感知して繊維の目が広がったり閉じたりして、温度調整をしてくれる優れものです。ナイキが採用して、テニスのシャラポワが着ていますね」

アロマ! ビタミン! 知能! 一体、何の話かわからなくなってきました。アスリートとメーカーによる飽くなき挑戦によって、スポーツウェアの発達はどんどん進むようです。

でも、それはスポーツの世界だけの話ではありません。衣服の機能性の進化は、実はデイリーユース商品にもかなり取り入れられています。ご存じユニクロはヒートテックが昨年話題になり、今年の夏も速乾性があってベトつかないドライポロなど、高機能アイテムに力を入れています。なぜこのようなアイテムが普段着に必要なのでしょう。ユニクロのプレス担当、立花知枝さんに聞きました。

「吸汗速乾、発熱保温、抗菌防臭などの機能は、スポーツシーンだけではなく日常生活も快適にしてくれるものですが、デイリーに着用するには、少々高価でした。それでも、そういった機能をデイリースタイルに求めるお客様の声は根強く、手ごろな値段で付加価値の高い商品を開発できないか、とスポーツウェア素材のプロである東レさんと協力して取り組んだ結果、商品化にたどり着いたんです」

プロスポーツの世界で培われたノウハウは、すでに僕たちの生活にも届いている模様。知らず知らずのうちに、僕らも先端技術で編まれた服を身にまとっていたんですね。
アウトドアやスポーツなど、マガジンハウスお得意の軽妙な切り口で紹介している雑誌。ファッションが好きで、かつスポーツやアウトドアもやってみたいという人におすすめ。最新号は入門編アウトドア特集。『ターザン』マガジンハウス

僕たちが着て”かっこいい”スポーツウェアって?



新しいスポーツを始めるとき、よくカタチから入る人っていますよね。僕もそうです。と同時に、大してうまくもないクセに、こんなの着ていいのかな?という気恥ずかしさも感じてしまいます。

「何をやるにしても、格好から入ることは重要ですが、スポーツの場合、単に見た目がオシャレかどうかというだけでなく、ある程度機能的にしっかりしたものを着た方がいいと思います」

と教えてくれたのはスポーツやアウトドアなどをファッショナブルに取り上げる雑誌『ターザン』の大田原透編集長。では、いきなりプロ仕様のキメキメでもいいですか?

「見た目のオシャレさではなく、速そうに見える、うまそうに見える、強そうに見える、ということが重要です。スポーツの場では、かっこいい=速そう、うまそう、強そうですから。でも勘違いしてはいけないのが、それがプロ仕様を着るということではないこと。マラソンが好きだからといって、オリンピックで見かけるような、ぴったりしたウェアでは普段走れませんよね」

はい、あれで走ったらちょっと恥ずかしいです。でもたまにパジャマみたいなスウェット上下とか、汗でべったりしたTシャツで走っている人も見かけます。テキトーな格好でも、走りにくそう。

「そう、何でもいいわけではありません。機能性の低いものを着て、インナーで股ズレしてもまずいし、普通のコットン素材で汗でおしりがピッタリしても恥ずかしい。運動的な意味でも、見た目が速そう、うまそうに見せる意味でも、それなりに機能的ものが必要になってきます」

機能的にはもちろんスポーツウェアがいいし、そのような本格ウェアを着ていれば、イバリもきく、と。ということは、本格的スポーツウェアで、かつオシャレなものがあれば最高では? 例えば僕なら、全身黒いファッションでマラソンしてみたいです!

「数年前にアパレルメーカーによるスポーツラインがはやりました。それに対抗する形で、最近ではスポーツメーカーがアパレル的なアプローチで逆襲しています。アパレルメーカーが仕掛けていたときは、機能面が足りなかったり、過剰スペックだったりしていました。でも今はスポーツをわかっている人たちが、ファッション系デザイナーと組んで面白いものを生みだしています。まだ黒いランニングウェアはないかもしれませんが、そういった自由な視点から作られるデザインのウェアが発売されるのも時間の問題だと思います」

なるほど。やはり本格ウェアにもファッション性が取り入れられているんですね。これから買う人に向けて、スポーツウェア界の最旬トレンドはありますか?

「秋冬に向けて、今年は機能性インナー大戦争になりそうです。着圧するコンプレッション系インナー、疲労軽減してくれるインナー、テーピング機能を果たしてくれるインナーなどがあります。ショートパンツや半袖シャツの下から長袖インナーを見せるレイヤリングの着こなしが流行っているので、そういったこだわりの本格派インナーを見せることも、速そう、うまそうに見せるコツかもしれませんよ」

本格的なウェアを揃えることは、スペックが好きな男子にとって、そんなにイヤなことではないかもしれません。あとはウンチクを語り過ぎて、女子に嫌われないように気をつけます。 僕のスポーツ歴は学生時代の部活レベルですが、
それでもスポーツウェアなどのスペックは
クルマやガジェット的な見方をしてみると楽しい。
なんせどんどん進化しているものだから、より楽しい。

本物/本格派を身につけているという優越感は、
男子特有のものでしょうか?

スポーツは見る専門という人は、
アイテムを買い揃えるという理由で始めてもいいかも!?

それでは、次回まで、
ネタやご感想、まだまだ募集しています!

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