あの時の話、聞かせてください!

第11回 元・新加勢大周、大旗一生の肖像

2009.07.08 WED

あの時の話、聞かせてください!


今も筋肉質な肉体は健在。「いちおう、それが売りなんで。そろそろこのキャラも卒業しようかなとは思うんですけど、趣味でトレーニングは続けますよ」と一生さん

新加勢大周デビュー騒動と流転の芸能生活



新加勢大周デビュー! その一報は、ワイドショーのみならず一般のニュースとしても届けられた。93年、人気俳優として活躍していた加勢大周に対して、新加勢大周が名乗りをあげたのだ。後の坂本一生その人である。あの衝撃的な記者会見から16年。一生さんは、様々な紆余曲折を経て、大旗一生として現在も芸能活動を続けている。その紆余曲折がまた壮絶なのだが、ひとまずあのデビューの舞台裏から話を進めよう。

「じつはあの時、僕は加勢さんのことをよく知らなかったんですよ。オーストラリアに留学してたんですけど、帰国した成田空港でスカウトされたんです。で、新加勢大周としてデビューさせるって話を聞かされたんですけど、よくわからなかったので、まあ、いいんじゃないですか、わかりましたって(笑)。もし知ってたら、さすがに考えましたよ。知らなかったからできたんです。デビューして、すぐ後悔しましたね。あ、もう辞めたいって(笑)。NHKでも取り上げられたんです。新加勢大周デビューという報道として。僕、NHKに出たいと思ってましたけど、そういう形で出たいわけじゃないんだけどな と(笑)。その後も、車を盗まれたり、知らないやつにスパナで殴られたり、僕って、いっつも事件になるんですよね。去年、お祓いしてもらったんですけど、もう2回事故りました(笑)」

とにかく平穏無事とは無縁の人生である。デビュー後は、主にバラエティ番組で体を張った活躍をしていたが、収入的には厳しい状況だった。

「当時デビューしたてで、あんまりギャラをもらってなかったんですよ。だから、親に援助してもらってたりして。そのわりに、顔は知られちゃったし、プライベートはまったくなくて。それなりの見返りがあれば、海外に行って羽を伸ばしたりとかできて、まだよかったんでしょうけどね。でも 、僕はお金がないから現実逃避できない(笑)。事務所を移籍しても、だんだん仕事も減ってきて。おむすびころりんじゃないですけど、ゴロゴロゴロって下り坂でしたから(笑)。芸能界は甘い世界じゃなかったですね。いいときはいいですけど、悪いときはお金も入ってこないし、落ちぶれたとか言われる。それはしかたないとはいえ、厳しかったな~。いまだに新加勢大周って言われたりしますしね(笑)。僕、3回名前を変えてるんですよ。新加勢大周から、坂本一生、坂本一世、今は大旗一生って名前でやってるんですけど。坂本一世っていう名前は、ルパン三世が好きだったから気分転換で変えたんです(笑)」
トレードマークだった黒のタンクトップは、現在ピンクに。「大旗一生も番組で改名したんですけど、これも番組の企画で共演者もスタッフも似合うって言うんで変えたんです。ホントに似合うかなあ?」
そして、1999年世紀末。しばらくぶりに一生さんのニュースが流れる。なんとそれは、プロレスラーを目指して、初代タイガーマスクこと佐山聡の格闘技団体「掣圏道」に入門するという衝撃展開だった。

「当時、芸能界からプロレスデビューってなかったと思うんですよ。話題性もあるし、周囲からもすすめられて。僕に対しては、佐山さんもちょっと甘かったと思うんですけど、それでもハードでしたね。いきなり腕立て100回、スクワット300回、背筋100回やって、それで今日は終わりかと思ったら、『よし、ウォーミングアップ終わり!』って。まだ始まってもいなかった(笑)。いろいろトレーニングさせてもらったんですけど、佐山さんはすごかったですね。構えただけで、もう怖い。見えないところからいきなりパンチが飛んでくる(笑)。天才ですよ。練習中のプレッシャーもすごくて、僕がサンドバッグにミドルキックとかしてると、竹刀片手に怖い顔で、じっと見てるんです。で、『一生くんさぁ、やる気あんのか!』って怒鳴られる(笑)。『あります!』って叫んで全力でキックして。すると、『それだよ、それ。気合入れろよ! ん、あと100本ね』みたいな。でも、体重はなかなか増えないし、年齢も27歳だったし、レスラーとしてはちょっとどうにもならなくて。まあ、なんだかんだで、結局帰りました(笑)」

プロレスラーも断念、芸能活動は休止。それでも生活していかなくてはならない。
一生さんは、様々な職業を転々とすることになる。
「もう一回…パーッと花火をあげたいなと(笑)。今度は、できるだけ滞空時間の長い花火をね」と一生さん。苦労も多かっただけに、この言葉にはさすがに重みがあった

芸能界から遠く離れて…復帰までの真相を語る



新加勢大周として、異例のデビューを飾った坂本一生あらため大旗一生。しかし、芸能界の荒波を泳ぎきるのは、さすがに困難なことだった。一時、芸能活動を休止し、一生さんは一般の職業に就くことになる。

「芸能界を離れているあいだは、いろいろな職業をやりましたね。でも、やたらとケガが絶えないんですよ(笑)。トラックの運転手をやってたんだけど、会社に行く途中に車にいきなりひかれたんです。足を骨折して、クラッチが踏めなくなっちゃって、運転手を辞めざるをえなくなって。で、建設現場の仕事を始めたんですけど、この仕事も主任になって、さあこれからってときに足場からツルッと落っこっちゃった(笑)。顔面を打ったんですけど、まあ大丈夫かな、と思ってそのまま仕事して、次の日、病院に行ったら、『アゴが割れてますよ! すぐ手術しなきゃダメです!』って言われて1カ月間流動食ですよ。そもそも僕、高いところが苦手なんで、そういう仕事はもう辞めようかなと。じゃあ、なんでやってたんだって話ですけど(笑)。その後は、飲食業をやってました。昔の知り合いの店で2年ぐらいレストランの店長をやってたんですけど、そのときフジテレビの『イマだ!タレント再生工場 ノムさん』って番組に出させてもらって。それがきっかけで、また芸能界のお仕事をするようになったんですよ」

ちょっと太めな体型になっていた一生さんだが、体も鍛え直し、トレードマークの黒いタンクトップを再び着込んで、芸能界に復帰。フリーで活動していたが、テレビ朝日『クイズプレゼンバラエティーQさま!!』で共演した安田大サーカスの団長のすすめもあり、2008年に松竹芸能に所属することになる。

「1年半くらい『Qさま!!』に出してもらったりしてたんですけど、そのあいだに団長と仲良くなって。面白い人間がいるから松竹に入れようって言ってくれたみたいですね。面白い人間って俺のことかって(笑)。団長はよく助言してくれるんですよ。笑わそうとしちゃダメだって言われるんですけど。一生さんはそのままでいい、そのまま天然でいけるって(笑)。よけいなことをしちゃいけないみたいです。彼も忙しいんで、なかなか会えないんですけど、団長が空いてるから会おうよっていう日に限って僕が仕事入ってたりするんですよ。こっちは毎日仕事があるわけじゃないから、前後は全然空いてるんだけどさ。一番嫌なのは、同じ日同じ時間帯に仕事がくることですね。ほかの日は空いてるのに。タイミングが悪いことが多いですねえ。何かいつも空回りしてるような感じがあります(笑)」
芸能界デビュー直後の一生さん。今もプリティですが、このころはハンパなくカワイイです。空港でいきなりスカウトされただけのことはあります
現在は、ピン芸人やホストとしても活動しているという噂もあるが。

「ホストは週1日程度のお手伝いです。ただ、来るお客さんが若いので話が合わないし、タレントとしては全然知られてないしで、難しいですね。仕事がない日は家でゴロゴロしてます(笑)。バラエティは好きだけど、芸人ではないです。番組の企画でルミネに芸人として出演したんですが、スベって、スベって(笑)。芸人はそんなに甘くないですよ! 一番やりたいのは俳優ですね。昔、Vシネマにも出させていただいたし、チョイ役でもいいから出たい。何か光るものがあれば、それでいい。見てくれた人がまた使いたいと思ってもらえるような演技ができたら。芸能界は、何歳じゃなきゃダメってのはそんなにないからね。年をとってからブレイクする人もいっぱいいるし。そういう人もいるから芸能界は面白いと思います。今振り返れば、名前が売れただけでもラッキーでしたね。ホントにいろいろなことがありましたけど。本でも書けるんじゃないかなあ(笑)」

大旗一生自伝。もし出版されたとしたら、メチャクチャ読んでみたい。
こんな波瀾万丈な人生を歩んでいる人は、芸能人でもそうはいない。
自伝がベストセラーにでもなったりしたら、本当に面白すぎるのだけど。 本当に一冊の本にまとめたいほど、ディープな話を聞かせてくれた一生さん。
芸能界を離れていた時のことなど、なかなか振りにくい話題も
楽しそうに語ってくれる一生さんは、天然のエンターティナーなのであった。

あのジャッキー・チェンも売れるまで、何度も改名したという。
まだ大旗一生に改名して1年も経っていないので、
知らない方も多いかもしれませんが、これから大旗一生という名前に要注目です!

この企画では、毎回インタビューの感想やご意見を受けつけています。気楽にメールくださいませ。さて次回は、いよいよ最終回! ゲストはイジリー岡田さん。あの伝説的深夜番組についても語っていただく予定です。お楽しみに。

ではでは、また。

■大旗一生プロフィール
1971年生まれ。血液型A型。1993年、新加勢大周としてデビュー。同年、坂本一生に改名。鍛え上げられた肉体を武器に、筋肉タレントとして活躍する。しばらく芸能界を離れることもあったが、現在は復帰。昨年、大旗一生(だいき いっせい)と改名した

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