魅せ腕時計のイロハ

第5回 クロノグラフってどんなときに使うの?

2009.09.03 THU

魅せ腕時計のイロハ

使い道はシンプルながら、その仕組みはかなり複雑!



文字盤に付いた複数の針が、オトコらしいメカニックな雰囲気を感じさせ、女の子からの支持も上々のクロノグラフ。ボクも自分の“オトコらしさ”アピールのために1本欲しいところですが、ここで素朴な疑問。あの小さな針には、どんな機能があるの?

あらためて「クロノグラフ」と呼ばれる腕時計をいろいろチェックしてみると、文字盤の中の小さな針は、2つだったり、3つだったり。また、文字盤の周りには細かい目盛りがたくさん…。これらの正体はいったい…、スピードメーター? 温度計?

自分アピールの好アイテムである腕時計。せっかくの“オトコらしさ”を見せるチャンスなのに、自分の時計にどんな機能があるのか、そのこだわりを語れないようでは、ちょっとイタイ…。

今回は、クロノグラフの機能について、シチズン時計の時計事業企画本部・仲川眞司さんにお話を伺いました。

ええと、そもそも「クロノグラフ」と呼ばれる時計の定義って、なんなのでしょうか?

「クロノグラフというのは通常の時刻以外にも時間を計測できる機能のことを指します。一般的にはストップウオッチ機能が付いたものをクロノグラフと呼びます。特長は“インダイヤル”という小針があることですね。これは2つ、あるいは3つあり、2つのものではそれぞれがストップウオッチの秒と分、3つのものでは、それに時が加わります」

ということは、この“小さい針”は、全部ストップウオッチだったんですか? てっきりそれぞれの針にいろんな機能があるのかと思っていました…。

「腕時計の中には、充電量を表示するものや、カレンダー、月の満ち欠けを表示するなど、いろいろな機能が付いているものもありますが、いわゆる“クロノグラフ”という場合は、ストップウオッチ機能のことですね」

結構シンプルなものだったんですね…。でも、どうして時計にストップウオッチが必要なんでしょうか?

「もともとは飛行機のパイロット用として、燃料消費量が計算しやすいように発案されたものといわれています。離陸してからどのくらい経っているかを即座に知るためですね。一般に販売され始めたのは60年代。その当時は機械式でしたが、80年代に入ってからクオーツ式も登場し、今では電子的にインダイヤルを動かすものが主流になっています」

なるほど。そうやって技術の向上につれ、インダイヤルも2つから3つに増えていったわけですね。

「3つになることで、今では11時間59分59秒まで計測できるようになりました。それにともない、構造もどんどん複雑になってきています。最新式のものだと部品点数が200を超えていますから」

ええっ、200以上も!
日中米欧世界4エリア対応の電波時計など、最新式の機種でも、クロノグラフが採用されている
「時刻表示の機構とは別に、インダイヤルを動かす動力も必要なので。それに加え、今や腕時計は“五感”で楽しむ時代。ストップウオッチの針を“帰零”(リセット)させる際のボタンのクリック感や針の戻り方など、電子的な機構への進化で損なわれてしまった見た目や手触りのアナログ感については、逆に機械式当時に近づけるよう工夫されているものもあります。この機構はちょっと専門的な話になるので説明しにくいのですが…、簡単に言うと、バネの連結とハートカム、レバーを使って…」

わ、わかりました! とにかく超難解な仕組みで動いているわけですね。それにしても、ストップウオッチ機能のためだけに精緻な機構を進化させる一方で、使用感の部分にはアナログ感を残すために、さらに手を加えるなんて…。まさに“オトコのこだわり!”という感じの腕時計なんですね!

実用性の少ない高機能性に、大人のオトコの遊び心を見た!



いくつも針の付いた文字盤のメカニックな雰囲気がオトコらしさを感じさせ、男女ともに好評のクロノグラフ。
あの小さな針たちには、どんな複雑な機能があるのかと思いきや、実はどれもストップウオッチ機能のためのもの。飛行機のパイロットが燃料計測をするために開発されたのが始まりらしい。

その後、一般に発売されるようになって以来、機械式からクオーツ式、さらにその複合タイプへと、どんどん技術発展、仕組みも複雑化していったらしい。使い道はとってもシンプルなストップウオッチ機能のためだけに、飽くなき追求を続ける…。クロノグラフには、大人のオトコがこだわる、そんな一風変わった遊び心を感じます!
シチズン時計の時計事業企画本部・仲川眞司さん、クロノグラフに込められた“オトコのこだわり”ポイントについて、もっと教えてください!

「現在では、1/5秒、1/20秒、1/100秒、なかには1/1000秒までを計測できるタイプもあります。さすがに1/1000秒になると針表示はできないので、こちらはデジタル表示。スタートするとグルグルすごいスピードで表示が回り始めるんです」

すごい!…ただ、日常でどう使ったらいいんでしょうね?

「日常的に使うシーンはそんなにないと思うのですが…(笑)、クロノグラフという時計の精度、性能を演出する意味合いが大きいのだと思います。実際に使用する必要性はなくても、『それだけ高機能の腕時計を着けているオレ』という満足感につながるのかと」

そう言われると、確かにパソコンを買うときも、実際には重たいデータ処理や複雑な物理計算なんてしないにもかかわらず、処理スピードを比較しちゃっているかも。オトコって機能や性能に憧れちゃう生き物みたいです。
ところで、文字盤の周囲にある細かな目盛り。複数の針とともに、クロノグラフの顔つきを独特なものにしているコレはいったい何ですか!?
ベゼル部分を拡大してみると、細かな目盛りが精緻に刻まれている。FUEL LBS、OIL LBSという文字は体積や重量を計算するときに使う目盛りだ
「計算尺として使うための目盛です。文字盤の周囲にある“ベゼル”と呼ばれる部分を回転させることで、ベゼルにある目盛りと文字盤の目盛りを使って計算することができるんです。簡単なかけ算・割り算や、リッターをガロンに体積換算したり、燃料諸比率や飛行距離計算までできるんです」

うわー、てっきり細かい“秒”の刻みか何かなのかと思っていたら、この細かい数字って対数表なんですね! そして、これもやっぱり日常では使う機会は少なそう!(笑)

「そうかもしれませんね(笑)。だた、プロのパイロット以外は、あまり使わないかもしれない機能でも、技術の粋を集めて真剣に作る。プロが使ってもまったく遜色のないそんな高機能腕時計を、必要性に関係なく腕に巻いている。そんな姿勢に、オトコの“粋”を感じませんか?」

なるほど! 60年代の発売から、クロノグラフがその機能を変えることなく支持され続ける理由は、そんなところにあるのかもしれないですね! その文字盤から、複雑な機能を想像させるクロノグラフですが、
その役割はいたってシンプルなストップウオッチ機能でした。

しかしながら、その仕組みは超複雑で、
部品点数も200を超えるそう!

本来は航空機パイロットが使うための、そんな精緻な機能が、
普通のビジネスマンの腕に巻かれているなんて、ちょっとおもしろい。
会話のネタにも使えそう!

クロノグラフは、
そんなオトコの遊び心をくすぐる腕時計だったんですね!

今後の調査の参考に、腕時計に関する皆さんの疑問や意見を聞かせてください。お待ちしています!

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