テレビゲーム文化考

第5回 “高橋名人”って今、何をしてるの?

2009.09.03 THU

テレビゲーム文化考


現在の高橋名人。ハドソン社内会議室にて。ブーム当時は映画にも主演し、鈴木保奈美さんら豪華出演陣と共演されていました。「そりゃあ緊張しましたよ!」とは、本人談

ファミコン“名人”ブームの元祖あの“高橋名人”って、今どうしてるの?



かつて、1秒16連射という神業のような連射テクニックを持ち、全国の小学生のあこがれの的となった男性がいました。

彼の名は高橋名人。

彼はファミコンの面白さを伝えるイベントを全国各地で行い、そのたびに何千人もの子供たちを集め、映画やゲームの主人公となり、テレビやラジオにも出演していました。

そんな高橋名人も、時代がファミコンからスーパーファミコンに移るにつれ、次第に姿を見せなくなっていきました。そんな高橋名人は、今、何をやっているんでしょう? というわけで、名人のところへ直接聞きに行ってきました!

「いや、僕はもともとハドソンの社員でしたので、名人として世に出ていない間も、ゲームソフトの説明書を作ったり、きちんと社員として働いていましたよ(笑)。今でも宣伝部でしっかり働いてます」(ハドソン宣伝部・高橋利幸さん)

あ、高橋名人って、そもそもはハドソンの社員だったんですね。それでもいただいた名刺にはおお、名人 高橋利幸と肩書きが記載されています。高橋名人は今でも名人だったのです! ところで、あの当時、いったいどういった経緯で高橋名人になったのですか?
全国の百貨店やおもちゃ屋さんで行われたイベントの様子。高橋名人を中心に、大勢の子どもたちが集まっています。高橋名人を見つめる子供たちの瞳が輝いてます
「きっかけは、自社のゲームをPRするために全国を回った『全国キャラバンファミコン大会』というイベントです。司会に芸能人の方を使うと、ゲームの知識や技術を仕込んだり、ひと夏の期間、スケジュールを押さえるのが大変ですから、当時若手社員だった僕がその役をすることになりました。その様子が新聞に掲載されたりすることで、ファミコン名人として知名度が上がっていきましたね」

メディアはこぞって高橋名人を取材し、人気が人気を呼んでいったそう。イベントには子供が毎回1000~2000人集まり、それを1日に6~8会場で行っていたのだとか。

「当時、ファミコンは子供たちにものすごく人気があったのですが、ゲームセンターは不良のたまり場という偏見も親御さんたちの中にあり、健全なゲームの遊び方を提唱しようと思いました。そんななかで『ゲームは1日1時間』という発言をしました。当時は、『ゲーム会社の人間が、ゲームをあんまりやるなと言うなんてどういうことだ』なんて販売店からつっこまれたりもしたんですけど(笑)」

おお、ゲーマーなら誰もが知っている、あの名言の裏にはそんな事情があったんですね。その後、役員会議で「ゲームを健全な遊びであると定着させよう」という方針が決まり、『ゲームは1日1時間』は正式に標語としてPRされることになったのだそう。

つい何時間も遊んでしまう自分ですが、今後は気をつけたいと思います!
連射する高橋名人。写真じゃ伝えきれませんが、指先がものすごく素早く振動しています。手首から先の作り方…これが並のゲーマーとは一線を画するッッ! そんな印象を受けました

“1秒16連射”は健在か!?高橋名人と本気で連射勝負をしてみた



かつてのファミコンブームのころ、その人間離れした連射テクニックから1秒16連射の異名を持ち、その名を世間にとどろかせた高橋名人。ファミコンのイベントをきっかけに、テレビやラジオ、映画などで大いに活躍されていました。

現在も名人という肩書きとともに、ハドソン宣伝部で働かれています。そんな高橋名人のもとに、挑戦状を思いっきり叩きつけてきたんです!

高橋名人、僕と連射で勝負してください!

「あ、いいですよ。でも私ももう年ですから、さすがに1秒間に16連射はできないと思いますがまだまだ負けませんよ(ニヤリ)」

不敵な笑みとともに快諾をいただきました。使用するのは連射測定器シュウォッチ。ボタンを押すとカウントが始まり、10秒間に何回連射できたかが測れます。1987年からいくつかのバージョンが発売され、100万台以上売れているのだとか。その当時、連射測定で熱くなった方も多いのではないでしょうか。ではまず僕からいざ、勝負!

ダダダ(連射中)ダダダハァハァダダダダ(連射終了)!

10秒で81連射! つまり1秒8連射! 遅い! 遅いな、これは! あっ、あれっ!? おかしいな昔はもっと速かったはずなのに。ほ、ほら最近は連射するゲームってなかなかないからなぁ。

「では、いきますよ」

と、僕が無駄な言い訳をしている間に高橋名人が連射態勢に。ヒジを直角くらいに曲げ、手首を固定し、中指を親指で支えたそのスタイルはそうだ! これはまるで蟷螂拳(とうろうけん:カマキリの動きをまねて作られたといわれる中国拳法)のようだ! そして名人が連打を始めるとうわっ、すごい! 腕が電動マッサージ器のように、正確に小刻みな振動をしています! そして記録は10秒で111連射! 負けたーっ! 1秒16連射とまではいかないけれど、さすがは名人、年をとってもその腕前は健在です。な、何か連射が速くなるコツなんてあるんでしょうか!?

「私がやるようなスタンダードな連射のタタキですと、ヒジを固定し、そこから先をひたすら振動させると記録がいいようです。他の方法としてはピアノを弾くように2つのボタンを交互に叩くピアノ、爪でボタンをこするように連打するコスリなどの連打法がありますね」

さっそくそのコツを意識してやってみるとおお、記録が91回に伸びた! うーん、でも1秒16連射には倍近い差をつけられているわけで。やはり名人の記録にはかないません。さらに連射を速くするにはどうしたらいいんでしょう?

「日々の鍛錬あるのみです」

よしっ! 高橋名人のように、スイカが連打で割れるくらいまでがんばります! イベントのキャラバンをしている当時は、
全国各地を渡り歩く毎日で、
1日に4回飛行機に乗るほど忙しかったという高橋名人。

「さすがに今はもうできないけどね、体がついてこない(笑)。1秒16連射も」

と、はにかんでいましたが、
筆者が本気を出しても全くかないませんでした。

しかし名人のアドバイスで本当に連射の記録が伸びたあたり、
今でもその伝道師っぷりは健在のご様子です。

無茶なお願いを聞いていただいてありがとうございました。

さて、この連載では、
「あのゲームってどうやって作られたの?」や、
「このゲームが好きだったんだけど、何か面白い話ないの?」や、
「SEGAが好きなんだけどどうしたらいい?」などといった質問を募集しています!

ゲームにまつわる不思議や疑問などありましたら、
お気軽に投稿してください。
調べてご報告できることもあるかと思います!

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