途方もなく天文学的な宇宙の不思議 第6回

この宇宙に働くあらゆる“力”のルーツはひとつ?

2011.09.28 WED


この図は、アインシュタインが一般相対性理論で示した4次元(空間3次元+時間1次元)の「時空の曲がり」を、2次元に置き換えて表現したもの。質量が大きいほど時空の曲がり(くぼみ)も大きくなり、球が低いところへ転がり落ちるようにして、近くにあるものが引き寄せられる
この宇宙を理解しようとするとき、「そこにどんな力が働いているのか」を知ることが不可欠だ。宇宙物理学者の佐藤勝彦さんいわく、この“力”の仕組みをもっともシンプルなひとつの法則で解き明かし、力の統一理論を作ることこそが、現代の理論物理学が目指していることだとか。

だが、ここであらためて「力」とは何かを考えてみると、よくわからなくなってきた。たとえば、僕の目の前にあるパソコンを動かしているのは電気の力だし、キーを叩いているのは筋肉の力、ボードにメモが留めてあるのは磁石の力によるものだ。さらに、こぼれたコーヒーが玉になっているのは張力、ペンが落っこちたのは重力で…佐藤さん、ざっと見回しただけでもこれだけ力の種類があるのに、これらをひとつの法則で引っくくることなんてできるんですか?

「たしかに力にはいろんな名前がついていますが、その源をたどれば、我々が日常的に接する力には2種類しかありません。そのうちのひとつが、異なる電荷(プラス・マイナスの電気的性質)を持つ物質同士を引きつけあい、同じ電荷を持つ物質同士を反発させる“電磁気力”。先ほど挙げられた力のうち、ペンが落ちた力である“重力”以外は、すべて電磁気力による作用なんです」

え、パソコンと筋肉と磁石の力が同じもの? と驚いた方もいるだろう。にわかには信じがたいが、この電磁気力は電子の間を飛び交う光子によって媒介されるそうで、電化製品を動かす力はもちろん、人間の脳や筋肉を動かしたり、液体をつなぎとめて玉にしたりするおおもとの力なのだそうだ。…ん? となると、ほとんどの力は同じ根っこを持つのに、重力だけはおおもとをたどっても別の力ってこと?

「厳密にいうと、“今のところは”別の力とされています。アインシュタインの一般相対性理論によって、物質やエネルギーが時空を曲げることによって重力が生じるという大まかなメカニズムはわかりました。ただ、この力はグラビトンという未知の素粒子によって媒介されると考えられていますが、これはまだ仮説上のもので、詳細は解明できていないんです。また、電磁気力や重力とは別に、原子核を結びつける“強い力”や素粒子の種類を変えたり崩壊させたりする“弱い力”という、日常生活では感じることができない2つの力があります。これら4つの力は、宇宙の歴史をさかのぼると、根源的にはひとつの力だったかもしれないんですよ」

アインシュタインは後半生を重力と電磁気力を統一する理論の研究に費やしたが、その理論はいまだ完成していない。現在4種類に分かれている力を根源的なひとつの力の仕組みで解き明かすことは、ミクロな素粒子からマクロな銀河まで、宇宙全体をひとつの方程式で表したいと願った、彼の夢でもあったのだ。
(宇野浩志)

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