5 分でわかるARの未来

第3回 ARで渋滞解消?渋滞のメカニズムとその解決方法とは!?

2011.12.14 WED

5分でわかるARの未来


縦軸に交通量、横軸に密度。共にもっとも効率がいい「臨界密度」がグラフ頂上の地点だ。この状態が時速70kmで車間距離が40mということになる。

時速70kmで車間距離40mが理想



「そもそも渋滞は、前が邪魔で後続が詰まり、クルマの密度が高くなった結果発生します。渋滞には、交通量と密度と速度が関係しているんです。もっとも効率的に走れる条件は、高速道路なら車間距離は約40m。速度は平均時速約70kmを保つことです。一見すると、この状態は渋滞とは無縁の様に思われるかもしれません。でも、40mよりも車間距離が詰まりだしたら、すでに渋滞は始まっているのです」

西成教授が観測データを元に導き出した答えによると、高速道路1kmに走ることのできるクルマの量は25台がおおよその上限値なのだとか。これを“臨界密度”という。前出の“車間距離40m”というのはこの数値から割り出された数字だ。

でも、もう少し車間距離を詰めて走れば、もっと多くの交通量が稼げる気もするのだが…?

「仮に運転の上手な人が車間距離をかなり詰めて走ることができれば、交通量はさらに伸びます。これを“メタ安定”と呼びますが、この状態は長く続きません。車列にひとりでも秩序を乱す人(ブレーキをすぐ踏む人とか)がいるだけで、あっという間に渋滞が起きてしまいます。」

普通の人がこのメタ安定状態で走行できるのは約5〜10分程度だそう。確かに前のクルマのブレーキランプに余裕をもって対応するのに、車間距離が40m程度必要という数値はうなずける。

では、もっと根本的に交通量を増やすことはできないのだろうか? その対策として、しばしば道路の拡張が図られるが、西成教授によると「2車線の道の一部を3車線にしても、結局2車線に戻るなら渋滞は起きる」らしい…。

「それどころか、よりひどい渋滞が起きることも。かといって新しい道を作ると、“誘発交通”といって『試しに通りたい人』で予想外の渋滞が起きたりしちゃう。いろんな要因が関係し合うのが、渋滞のやっかいなところなんです(笑)」

今のところ、ドライバーによる上記の“渋滞をおこさない運転”が最も効果的とのこと。しかも、この車間距離40mの法則は、結果的に僕らドライバーにとっても最良の選択なのだとか。

「高速道路の渋滞多発地帯で、あえて『車間距離を40mあけて走る』という実験をしたんです。すると、渋滞が起きなかったんですね。さらに、結果的に早く着きやすくなり、ブレーキを踏む回数が少なくて済むので、燃費も向上します。これは、みんながやらないと意味がないと思う人もいるでしょうが、10人にひとり実践するだけでも渋滞解消の効果があるんです。」
“AR”技術を取り入れた、カロッツェリア サイバーナビの「ARスカウターモード」。前方を走行する車両を捕捉して、車間距離を表示し、車間距離が縮まると注意喚起をしてくれる。
さて、この法則を実践するにあたり、 ARが大きなカギを握る製品が登場したのをご存じだろうか? それが、西成教授も監修に加わったカロッツェリアのサイバーナビだ。このナビに搭載された“ARスカウターモード”には、先方車両を捕捉して車間距離を表示する機能が付いている。これなら、前を走るクルマとの距離が一目瞭然だ。現実の映像にナビ情報を重ね合わせる“ARナビ”ならではの魅力といえるだろう。西成教授によると、今後も渋滞解消に向け、国の関係機関や民間企業との提携を進めていくとのこと。

というわけで、この年末にクルマで帰省したり、旅行に行くのなら、車間距離を詰めたくなる気持ちをグッとこらえて40mをキープしてみよう。それが、時間的にもお財布的にも嬉しい結果を生んでくれるハズだ。 投稿募集はこちら 皆さんの投稿を募集中!

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