個人でも電子書籍を“出版”できちゃう

「iBooks Author」の描く未来は?

2012.04.05 THU


テンプレートを選ぶだけで誰でも本がデザインできるMac用ソフト「iBooks Author」。売り上げの3割がアップルの収入となる
世界的に「電子書籍」への関心が高まっている昨今、アップルが今年1月に発表した無料の電子書籍作成ソフト「iBooks Author」が話題になっている。好みのデザインを選択して文章や画像を配置すれば、あっという間に本格的な電子書籍が作れてしまう。完成した書籍はアップルのオンライン書店「iBookstore」で販売できるしくみで、これまで一般の人には高嶺の花だった“出版”が誰にでもすぐに実現できるのだ。

現時点では日本でのサービスは始まっていないが、アメリカではリリース後わずか3日間でおよそ9万回ダウンロードされ、一部では“電子書籍の未来を変える”とまで期待されている。だが、実際に誰がどんな本を書いていて、何が売れているのか? アメリカの電子書籍事情に詳しい出版エージェントの大原ケイさんに話を聞いてみた。

「現状、iBookstoreは高等教育向けの『電子教科書』の販売がメインで、それ以外の本は課金制度が整っていません。自分の書いた本を無償で公開するケースを除き、市場としてはまだまだ未成熟ですね」

海外ではアマゾンが運営する「Kindle Store」で同じように電子書籍を自由に販売できるサービスが先行して展開されているが、そちらの状況はどうだろう?

「紙の本にするには短すぎる小説やルポが商品化できたり、なかには口コミからヒットする作品もありますが、自費出版は玉石混交で、Kindle Storeでは盗作や詐欺も問題化。その点、iBookstoreは販売する作品をアップルが事前に審査するので、クオリティを求める読者はiBookstoreを選ぶようになる可能性はありますね。いずれにしろ、電子書籍だから新しいジャンルの本が売れるということはなく、あくまでも“本のあり方”のオプションが増えたと考えるべきでしょう」

とはいえ、僕らでも手軽に電子書籍をリリースできる手段が広がったのは画期的なこと。日本でのサービス開始が楽しみだ。
(呉 琢磨)


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