米国・中国は国をあげて育成中ですが…

サイバー戦士養成スクールの脅威

2012.04.19 THU


セキュリティ・キャンプでの実習風景。大学生と互角の知識を持った中高生の参加者も多く、早期のモラル教育が急務となっている
ソニーや任天堂など大手企業へのサイバー攻撃や、ハッカー集団「アノニマス」の存在が話題になった昨年。このような情勢を踏まえ、中国やアメリカでは国をあげて「サイバー戦士」養成を強化する方針だという。日本でも経済産業省と情報処理推進機構を中心に、サイバー攻撃から“守る側”の人材育成に取り組んできたが、このたび民間企業のバックアップを強化。さらに高い技術者の輩出を目指すとのこと。しかし、サイバー戦士の養成とは実際どのように行うのだろう。2004年から「セキュリティ・キャンプ」という合宿形式の研修を行ってきた情報処理推進機構に具体的な実習内容を聞いた。

「セキュリティ・キャンプでは、ウイルスの種類や脆弱性の事例、攻撃方法などに関する学習はもちろん、架空のシステムやサイトから脆弱な箇所を見つけ、その防御策を講じる実習などを行います」

ただし、システムやネットワークの欠点を見つける方法は、クラッカーと呼ばれる、悪意あるサイバー攻撃者が利用する技術でもある。つまり、育成した技術者が社会の脅威となる可能性もゼロではないというわけだ。

「だからこそサイバー戦士の養成には倫理面の指導が不可欠です。技術指導と同じだけの労力をかけてモラルを高めねばなりません」

サイバー戦士にはコミュニケーション能力も重要。そのためディスカッションやプレゼン、チームで競い合う実習も行う。なぜなら「専門分野だからこそ、プレゼンやディスカッションの機会を作って状況や打開策を多くの人に伝える力を養わなければならない」とのことで、実際に経済産業省の調査では「IT企業が重視する情報系教育内容」として、60%近い企業が「コミュニケーション能力」をあげている。

「サイバー戦争」なんて言葉も聞かれる昨今。情報セキュリティ強化のためには“モラルがあってしゃべれる”優秀なIT人材の養成が急務のようだ。
(河合 力)


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