ミドリムシで、ジェット機が飛ぶ!?

食糧危機で注目 ミドリムシパワー

2012.07.24 TUE


ミドリムシの顕微鏡写真。2005年、他の菌の繁殖を抑えることで、石垣島でミドリムシの屋外大量培養に成功 写真提供/株式会社ユーグレナ
昨年末、日本科学未来館の「‘おいしく、食べる’の科学展」で話題を呼んだ「ミドリムシ(学名:ユーグレナ)」のクッキー。人気を受け、日本科学未来館で販売が継続されており、現在では通販でも評判だとのこと。なぜ今、ミドリムシがこのように脚光を浴びているのか、世界初のミドリムシの屋外大量培養に成功し、研究開発を進める株式会社ユーグレナの浅岡良彦さんに話を伺った。

「ミドリムシは『ムシ』と名前に付きますが、実は、動物と植物の両方の性質を持った光合成をする『藻』の仲間なのです。含まれる栄養素は、肉、魚、野菜などに含まれるビタミン、アミノ酸、不飽和脂肪酸など、59種類と豊富。さらに、植物の特徴である、細胞の『細胞壁』と呼ばれる硬い殻がないため、人体が栄養分を吸収しやすいのもポイント。小麦粉や卵などとも相性が良く、おいしく食べられるので、ミドリムシが含まれた食品が広まれば、食料危機対策としても貢献できるのでは、と期待されています」

ミドリムシがそんなに栄養豊富だとは知らなかった! それ以外にもすごい性質があるという。

「火力発電所や工場から出てきた、高いCO2濃度の排ガスの中でもミドリムシは元気に増えていくという、驚きの特性を持っています。一般的な樹木の十数倍の効率でCO2を吸収できることもあり、温暖化対策にも大きな可能性を秘めています。また、ミドリムシに含まれる豊富な油脂分から、飛行機を飛ばすことができる『バイオジェット燃料』の研究も始まり、現在プロジェクトが進行中です。石油価格の高騰などもあり、バイオ燃料への期待は年々高まる昨今。他のバイオ燃料のように、トウモロコシなどの食料を、燃料か食料、ふたつの用途で競い合ってしまい、結果、価格が上昇するといった心配が少ないうえ、培養スピードも速いミドリムシは、期待の新燃料といえるのではないでしょうか」

ほかにもミドリムシの豊富な栄養素を生かした化粧品が販売されていたり、家畜の飼料としての開発が進められていたりと、汎用性はとても高い。ミドリムシ、小さいながら偉大な力を持ったヤツなんですね。
(伊藤 裕/GRINGO&Co.)

※この記事は2010年7月に取材・掲載した記事です

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