ライトノベル、ギャルゲーから米袋まで…。需要急増で引っぱりだこ

「萌え系」絵師争奪戦が白熱!

2012.07.30 MON

一時に比べ、ライトノベル(以下、ラノベ)やギャルゲーなど、いわゆる「萌え系」のイラストを使った商品をよく見かけるようになった。「アキバ系」と呼ばれるコアなファンに止まらず、広く浸透してきた感もある。そんなマーケットの拡大を受け、業界は「売れる絵師」探しにやっきになっているようだ。携帯ゲームの開発を行うニジボックスの麻生さんはこう語る。

「同人誌やイラスト投稿サイトなどを見る限り、アマチュアで描ける人はたくさんいても、一定のクオリティ以上のイラストを描ける人は少ないように思います。そのためどうしても、人気の高い有名な方に仕事は集中しがちです」

また、市場が急速に拡大しているラノベの世界でも、同様の現象が起きているようだ。

「少し前まで5~6社だったラノベ文庫のレーベルは、ここ2~3年ほどで倍の10以上に増えています。やはり“売れる絵師”は取り合いのような状況になっていますね。最近はpixivなどネット上に投稿されているイラストを見て絵師を探すことも多いのですが、無名でもいわゆる“売れ線”のイラストを描いている方にはすぐにオファーが殺到してしまいます」(富士見書房・ファンタジア文庫編集部の田中久美子さん)

ちなみに売れ線のイラストとは“目力が強く”“清潔感と色気を兼ね備えている”ことなどがポイントなんだとか。特にラノベは表紙のイラストによって大きく売り上げが変わるため、この売れ線をおさえている絵師は重宝されるようだ。

「最近はラノベ界でも『ジャケ買い』という言葉が普通に使われるくらい、ラノベにおけるイラストのプライオリティが急速に高まっています。そのひとつの表れがイラストレーターと印税契約を結ぶケースが増えてきていること。これまで、イラストレーターには、買い切りのイラスト料をお支払いするケースがほとんどだったので、本が売れても、イラストレーターの収入が増えることはなかったんです。ところが、物語の内容と同じくらい表紙のイラストが売上を左右するようになってきたため、ヒット作のシリーズなどでは著者同様、イラストレーターとも印税契約を結ぶ会社が増えていると聞きます」(田中さん)

昔は、漫画家やよほど売れっ子のイラストレーターでもない限り、絵だけで食べていくのは難しいといわれていた。しかし現在は「萌え系」マーケットの拡大により、若手が腕一本で身を立てるチャンスも大きく広がっているようだ。

一時的な“萌えバブル”か、右肩上がりの成長マーケットか、いずれにせよしばらくは萌え系イラストレーターの争奪戦が続きそうだ。
(榎並紀行)

※この記事は2011に7月に取材・掲載した記事です

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