ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第1回

ISS宇宙でメダカ飼育の狙いは?

2012.08.01 WED


今回で2度目の宇宙飛行となる星出さん。4年前には日本実験棟「きぼう」の取り付けミッションに携わったが、今度はその「きぼう」内で自ら実験任務を行うことに 提供:JAXA/NASA
7月15日に宇宙へと旅立った、宇宙飛行士の星出彰彦さん。そのミッションは、無重力環境を利用しての科学実験やISSのメンテナンス。「ロボットアーム」と呼ばれるマシンを操作して小型の人工衛星を宇宙空間に直接放出したり、日本人としては3人目となる船外活動を行ったりと、いかにも“宇宙飛行士らしい”任務が目白押しだ。ところが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)・有人宇宙利用ミッション本部の福田義也さんによれば、もっとも注目すべきは「メダカの飼育」なのだそう。え? メダカが目玉?

「人工衛星の放出や船外活動は見た目も派手で話題性がありますが、与えられた任務を計画どおり着実にこなすことが求められます。いわば、結果がわかっているミッションです。一方、メダカの飼育実験は宇宙の無重力空間で試してみなければ、結果がわかりません。人類にとって本当に意義があるのは、こうした一見地味な研究なんですよ」

そ、そんなに意義深い実験だとは…。具体的には、メダカを宇宙で育てることで何がわかるんでしょう?

「メダカを育てる目的のひとつは、骨のメカニズムを解明すること。宇宙に長期滞在すると飛行士たちの骨は弱くなることがわかっていますが、詳しいメカニズムはまだわかっていません」(福田さん)

宇宙で飼育するメダカは、骨の組織や細胞を観察しやすいように遺伝子を変化させているもので、3世代にわたって無重力環境が体にどのような影響を与えるかを調べられるそう。

「骨が減るメカニズムが解明されれば、今後の高齢化社会でますます問題となるであろう『骨粗しょう症』の治療法や、骨を丈夫にするための運動や食事の方法が見えてくるかもしれません。今回のミッションには、そういった期待が寄せられているのです」(同)

地上とまったく異なる環境で実験を行うことにより、人体の仕組みを理解するための貴重なデータを得る──。メダカの飼育と聞くとちょっとカワイイ光景のようにも思えてしまうが…そこには、宇宙実験に課せられた“使命”が存在しているのだ。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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