復興財源の足しになるかも?

周波数オークションとはなんだ?

2012.08.21 TUE


携帯電話などの通信やテレビ・ラジオ放送、さらには電子レンジなど、身近にも電波が使われているものはとても多い。電波は限られた資源でもあるため、使用に当たっては総務省の許可が必要なのだ 写真提供/GettyImages
総額20兆円は下らないといわれている東日本大震災の復興財源。その捻出のため、大増税もやむなしといった雰囲気だが、少しでもその足しにできるのでは…と注目を集めているのが「周波数オークション」。これによって国民負担が少しでも低減されるならありがたい話だ。でも、そもそも周波数オークションとは何なのかよくわからない。そこで、情報通信に詳しい東洋大学教授の山田肇先生に話を聞いてみた。

「周波数オークションは、携帯電話の通信やWi-Fiなどを扱う通信事業者などが電波を使用する際に必要な周波数使用権を、国がオークションにかけるというもの。現在は、毎年の“電波利用料”しか事業者から徴収していませんが、それに加えて“使用権取得”の対価も新たに徴収できるようになるんです」

さらに、電波使用権取得のチャンスが多くの事業者に広がるというメリットもあるという。

「現状では、電波使用権をどの通信事業者に与えるかは総務省の裁量で決められています。それがオークションになれば競争条件が明確になり、決定過程もオープンになりますから、新規参入が増える可能性もあるでしょう。業界が活性化することが期待され、利用者へのサービスも向上するはずですよ」

でも、オークションは「高い値をつけたところが落札する」システム。使用権取得にお金がかかれば、サービス利用料に跳ね返るおそれもあるのでは?

「今まで毎月数千円で提供してきたサービスを、急に月数万円にしたら利用者は確実に離れてしまう。ですから、現状の利用料を維持することを前提とした金額で応札する業者がほとんどでしょう。利用者の負担が大きく増加することはないと思います」

では、肝心の財源は、オークション導入でどれくらいの収入が新たに確保できる?

「700MHz~900MHzの俗に“黄金の周波数帯”と呼ばれている電波帯を対象に実施すれば、少なくとも1兆円は確保できるという試算があります。その他の電波帯にも拡大すれば、それ以上の財源確保につながるでしょう」

つまり、デメリットは少ないばかりか、財源も確保できていいことずくめというわけだ。ならば、早急に導入してもらいたいものだが…。

「ただ、業界を中心に反対論が根強いことや、政権が安定しないことでなかなか議論が進んでおらず、今のところ実現のめどはたっていないんです」

詳細な制度構築などはまだこれからというのが実情のようだ。復興財源の確保は急務だし、国民に負担を強いる増税の前に、まずは周波数オークションの導入に期待したいところだ。
(鼠入昌史/Office Ti+)

※この記事は2011年09月に取材・掲載した記事です

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