遠隔医療から映画・ゲームへの応用まで

「バーチャルリアリティ」の未来

2012.08.23 THU


マスターコックピットと、アバターロボットで構成される「TELESAR V」。操縦者は別空間を体験できるだけでなく、自身の存在感を伝えることもできる
画像/TELESAR V(上)、Chilly Chair(下)
視覚や聴覚、触覚などの感覚を人為的に作り出し、現実さながらの臨場感を再現する―。「バーチャルリアリティ」技術が、なにやらスゴイことになっている。

今年8月5日~9日にアメリカ・ロサンゼルスで開催された世界最大級のデジタルメディアの祭典「SIGGRAPH2012」で話題となったのが慶應義塾大学の舘 暲特任教授らが開発した「TELESAR V」。これはアバターの感覚情報をユーザーに伝送することで高い臨場感を実現する「テレイグジスタンス(遠隔存在感)」技術を用いたロボット。映像や音のほか、細やかな“感触”を操縦者に伝える世界初のシステムだ。単なるロボットとは異なり、目の前の物に触れているような臨場感があるため、遠隔医療や極地作業への応用などが期待されている。

同じく「SIGGRAPH2012」で電気通信大学の福嶋政期氏が発表した「Chilly Chair」は、静電気で体毛を逆立てることで、人為的に“感情”を増幅させる装置だ。

「音楽や映画を視聴すると、人は恐怖や感動などの様々な感情を喚起します。我々はこれらの感情に合わせて人の体毛を立毛させることで恐怖や驚きや感動といった様々な感情を増幅することを試みています」(福嶋氏)

文字通り「Chilly(ゾッとする)」感覚を生成する椅子なのだ。

「現在の装置は腕の毛を立毛させるため、常に腕をアームレストに載せておく必要があり、テレビゲームなどには不向きです。ただ、現在製作を進めているクッション型の装置が実現すれば、映画館や家庭などの様々な場面に応用できます。またコンテンツではなく人の発汗量(興奮度合い)に応じて立毛させることで、読書などにおいてもこの装置を使用できると考えています」(同)

もはや耳慣れた感もある「バーチャルリアリティ」だが、実はまだまだ進化中。本領発揮はむしろこれからなのかも!
(吉原 徹/サグレス)


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