バージョンを表す大事な目安のはずが…

ソフトのバージョンアップ高速化?

2012.09.04 TUE


9/27深夜に公開される最新のFirefoxのバージョンは「7」だが、公式サイトの配布ページからは、すでにバージョンの表記がなくなっている。もはやバージョンの数字を意識しないのが当たり前?
PCのブラウザをはじめとして、一般的にソフトウェアの「バージョン」は『4.51』のような数字の組み合わせで表現されるのが昔からの慣例だ。目玉機能の追加など、大規模な改訂が行われるときは「メジャーバージョンアップ」と呼ばれて頭の整数が増える。一方で、小規模な機能改善やバグ修正が行われるときは「マイナーバージョンアップ」と呼ばれ、小数点以下が増えるという具合だ。

だが最近、Webブラウザのバージョンアップの仕組みに変化が起きている。注目のきっかけは、3億人以上のユーザーを抱える世界シェア2位の人気ブラウザ「Firefox」の動向。このブラウザを開発しているMozillaは、6月に公開したFirefox 5以降から「今後は6週間ごとにメジャーバージョンアップを行い、年内にはバージョン9まで到達する」という方針を発表した。またGoogleが開発している「Chrome」も同様に、6週間おきのメジャーバージョンアップを昨年から実施している。

これまでの有名Webブラウザの歴史を振り返れば、大規模なメジャーバージョンアップは大体1年~1年半に一度のサイクルで不定期的に行われていたはず。この異変には一体どんなワケがあるんだろうか?

「Webブラウザの開発サイクルの高速化は、業界全体の流れでもあります。ここ数年、めまぐるしいスピードで進化しているWebの世界の新技術に対応するためには、従来のようなサイクルではなく、より短い周期でのバージョンアップが必要になってきたんです」と教えてくれたのは、Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子さん。

「これまでのメジャーバージョンアップは、大幅な新機能や改良点をまとめて加えていたため、必然的に開発に長い期間が必要でした。そこで6週間という定期的な更新サイクルを採用することで、最新の機能やセキュリティを迅速に提供できるようになったんです。また、新バージョンでもアドオン(機能追加プログラム)が正しく動作するかを検証しやすくなるという、開発者向けのメリットもあります」

新機能がどんどん使えるのはうれしいけれど、ユーザーにとって頻繁なバージョンアップが面倒になったりはしないんだろうか?

「ブラウザにとってはセキュリティの向上もバージョンアップの重要な目的ですから、安全性のためにも最新版を使っていただきたいのが開発側の希望です。また、Firefoxには自動更新機能が付いているので、ユーザーの方々が意識的に更新作業をする必要はありません。将来的にはバージョンの数字すら意識しなくなり、すべてのユーザーに“最新のFirefox”を使っていただけるのが理想ですね」

ますますスピードアップするWebの技術進化と、ブラウザの機能向上は両輪の関係にある。バージョンアップの高速化は、時代の流れの必然といえるのかもしれない。
(呉琢磨)

※この記事は2011年09月に取材・掲載した記事です

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