ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第5回

文系でもできる宇宙の仕事とは?

2012.08.29 WED


2013年に打ち上げ予定の人工衛星「ALOS-2(エーロス2)」。地図作成や資源探査など幅広い分野で活躍した地球観測衛星「だいち」(2011年5月に運用停止)の後継機として期待されている 提供:JAXA
宇宙に関わる仕事に憧れを抱く人は多いけれど、宇宙飛行士はあまりにも“狭き門”。それ以外にどんな仕事があるのだろうか? 『宇宙就職案内』(ちくまプリマー新書)の著者・林公代さんに話をうかがった。

「代表的な職場といえば、やはり宇宙航空研究開発機構(JAXA)や宇宙関連企業でしょう。ロケットや人工衛星の開発、宇宙と交信を行う管制官など、宇宙に関わる様々な仕事があります。あとは、国立天文台。天体望遠鏡で宇宙を観測したり、宇宙の謎を解き明かす理論を考えたりするのが主な仕事ですね」

となると、やはり理系の専門知識がないと厳しい…?

「そんなことはありませんよ。実はこれからの宇宙開発に一番必要なのは『アイデア』だったりします。今は数千の人工衛星が地球のまわりを飛んでおり、そこから膨大な観測データや画像を得られる時代。すでにカーナビや気象情報など、私たちも生活のなかでそれらを利用していますよね。そこで求められるのが、こうした宇宙からの情報を利用してどんなビジネスを生み出せるかという視点。これは文系の人間でも十分に可能です」(林さん)

たとえば、人工衛星で観測した情報をビジネスに結びつけた事例のひとつに、「衛星の恵み うれしの茶」がある。これは宇宙から栽培中の茶葉を観測し、うまみ成分を多く含む茶葉のみを摘むというアイデアで、佐賀県のブランド茶として人気を集めている。また、人工衛星から海の水温データやプランクトンの分布を観測し、マグロやカツオなどの魚群探知に利用している例も。これは、漁師が発案したアイデアだそうだ。

「気象データを利用すれば水不足や凶作が予測できるし、宇宙からの目は“監視”という使い方も可能です。となると、農業や危機管理ビジネスにつなげられるかもしれません。人工衛星のデータは民間企業でも購入できるので、道はすべてのビジネスマンに開かれています。今は、誰もが宇宙の仕事に関われる時代なんですよ」(林さん)

「宇宙産業データブック」(日本航空宇宙工業会)によれば、日本の宇宙産業の市場規模は約9兆円(平成22年度時点)。これからアイデア次第で成長していくわけで…案外、新しいビジネスのタネは、宇宙に転がっているのかも!?
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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