ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第7回

宇宙ごみ問題、地上にも影響あり!?

2012.09.12 WED


2001年1月にサウジアラビアの首都・リヤドから240kmの地点に落下した宇宙ごみ。質量は70kgで、材質は耐熱性の高いチタン。人的な被害はまだないが、こうした落下事例もある 提供:NASA
宇宙開発が始まって約半世紀。無数の人工衛星が僕らの暮らしを豊かにしてくれている一方で、開発のツケともいうべき環境問題が発生している。宇宙ライターの林 公代さんに話を聞いた。

「使われなくなった衛星やロケットの破片が、『宇宙ごみ(=スペースデブリ)』となって地球の軌道上をまわり続けています。その数は地上から観測できるもので約2万個、10cm以下の細かいものを含めると約5兆8000億個あるという推定もあります。これらは秒速約7~10kmという高速で飛行しており、ISS(国際宇宙ステーション)や稼働中の人工衛星に衝突すると大事故に発展しかねません」

とはいえ、広大な宇宙空間にあって、衝突事故など起こり得るのだろうか?

「確かに確率が高いわけではありませんが、宇宙ごみは人工衛星が数多く飛んでいる地上600~1000kmの低軌道に密集しています。さらに、その破壊力はたった1cmのごみが衝突しただけで人工衛星の全機能が停止するといわれるほど。古川聡飛行士がISSに滞在していた2011年6月には宇宙ごみが330mまで接近。飛行士たちが緊急帰還用の宇宙船に避難する事態に発展しました。一度衝突事故が起こると、無数の破片が新たに散らばり、ますます宇宙ごみは増えていきます」

問題は宇宙空間だけにとどまらないという。ナント、この地上にも落下してくる可能性があるのだとか!?

「高度約2000km以下の低軌道には、ごくわずかながら大気があります。その空気抵抗を受け、宇宙ごみの飛行高度は徐々に下がり、地球に近づいてきます。ほとんどは大気圏に突入した際に燃え尽きますが、一部、耐熱金属などが大気圏を突破してしまう危険性があります。2011年9月にはアメリカの衛星『UARS』(重量約532kg)が、同年10月にはドイツの衛星『ROSAT』(重量約1.6t)が大気圏に再突入し、その大きさと耐熱性、軌道から、人に当たるのではと世界中で話題になった例もあります。どちらも大気圏でほとんどが燃え尽きたと見られていますが、実際に宇宙ごみが落下してきた事例もあります。必要以上に怖がる必要はないものの、楽観視はできない問題となっています」

これまで墜落してきた宇宙ごみが人に当たった例はなく、その確率は交通事故より1兆倍も低いという。しかし、5兆個ものごみが飛び交っていることを考えると…ちょっと心配にもなりますね。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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