ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第9回

グローバル化する宇宙開発の新興国

2012.09.26 WED


マレーシアのシェイク・ムザファ・シュコア宇宙飛行士(写真左)。聖地メッカの特定方法、礼拝時間、断食の方法など、宇宙に滞在するイスラム教徒向けのガイドライン作成に貢献した 提供:NASA
宇宙大国といえば、真っ先に思い浮かぶのがアメリカとロシアだが、近年は中国の躍進がめざましい。国際宇宙ステーション(ISS)のプロジェクトには参加していないものの、米・ロに続いて有人宇宙飛行を成功させ、独自の開発を進めている。2011年には、人工衛星の累計打ち上げ数で日本を抜き、世界で第3位となった。

世界の宇宙開発事情に詳しいJAXA国際部の辻野照久さんによると、世界には注目に値する新興勢力がまだまだあるという。

「まず注目すべきはインドです。この国はロケットの商業打ち上げや、通信衛星による遠隔教育・遠隔医療の分野で実績を上げています。質の高い授業を全国の小学校に一律で配信したり、遠隔医療用の聴診器や心電図などを使って問診を行うことで、地上インフラの不足をカバー。人材育成や先進国への産業進出にも力を入れており、今後もますます発展していくことが予想されます」

また、人工衛星の打ち上げ実績などは少ないものの、宇宙開発に力を入れている新興勢力として、アラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカ、マレーシア、ベトナムの名前が挙がった。

「UAEは石油依存型経済からの脱却を図り、産業の多様化に力を注いでいます。そのひとつが宇宙開発。まだ他国から衛星を買って運用するという段階ですが、世界最大級のアンテナを備えた『スラヤ衛星』を打ち上げています。日本のソフトバンク社も、災害時のつながりやすさなどを見越し、これを利用した衛星携帯電話サービスへの参入を発表しています。南アフリカは、2011年に“宇宙開発のサミット”ともいうべき『国際宇宙会議』をアフリカで初めて開催しました。まだ打ち上げ数は2回と少ないものの、いずれも国産で開発しており、自国で衛星を作れる数少ない国のひとつになっています」

またマレーシアは、同国初の宇宙飛行士をISSに搭乗させるにあたり、宇宙でのイスラム教徒の礼拝などに関するガイドラインを策定。ベトナムはベルギーのODAにより、地球観測衛星を打ち上げる予定だという。ちなみにどちらの国も、宇宙開発においては日本を参考にしている部分も多いようだ。

宇宙開発を促進させるためには、激しい競争と国際的な協調が必要だ。地上と同じく、宇宙開発もグローバル化しているってことなのかも。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト