ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第10回

宇宙飛行士にも得手不得手がある?

2012.10.03 WED


ISSでロボットアームを操縦する若田光一宇宙飛行士。その高い技術力と人望で世界中の宇宙関係者から尊敬を集め、2013年からの4度目の宇宙飛行では日本人初の「コマンダー(=ISSの船長)」としての任務を務める 提供:JAXA
宇宙飛行士の仕事といえば、宇宙船の操縦から無重力環境下での科学実験、ISS(国際宇宙ステーション)の修理や地上に向けた広報活動まで多岐にわたる。さらには船内での健康管理や医療対応まで行うわけで、総合的な「ジェネラリスト」としての資質が必要だ。だが、そんな宇宙飛行士たちも元々万能なわけではなく、人によって得意分野が異なるという。歴代の宇宙飛行士を取材してきた宇宙ライターの林 公代さんに話をうかがった。

「彼らは初めから宇宙飛行士だったわけではなく、それぞれ異なるバックボーンを持っています。例えば、最初の日本人宇宙飛行士である毛利衛さんと向井千秋さんは、ともに“科学実験のスペシャリスト”として宇宙飛行士に選抜されました。毛利さんは化学という専門を生かし、化合物半導体の結晶成長実験などに成功。また向井さんは、医師として無重力環境や宇宙の放射線が人体に与える影響などを調べるなど多数の実験を行いました」

その後、ISSおよび日本実験棟「きぼう」の組み立て・運用に向けて多く採用されたのが、エンジニア出身の宇宙飛行士だとか。

「若田光一さんの前職は日本航空の技術者。若田さんはロボットアームの操作において世界でトップクラスの技術を誇り、ISSの組み立てに参加。地上に戻ってからはNASAでロボットアームの教官も務めています。いま宇宙に滞在している星出彰彦さんもエンジニア出身。当時はJAXAで『きぼう』の開発などに携わり、宇宙飛行士になってから自らの手で『きぼう』の船内実験室を取りつけました。彼らのエンジニアとしての経験が、宇宙で生かされた例だといえるでしょう」

そして、次世代の宇宙飛行士には、これまでの日本人にはいなかった経歴の持ち主が選抜されているという。

「2011年にISS搭乗宇宙飛行士に認定された油井亀美也さんは航空自衛隊のパイロット、大西卓哉さんは全日空の副操縦士というバックボーンを持っています。彼らはいわば、航空機操縦のスペシャリストなんです」

さすが厳しい選抜試験をくぐり抜けてきた宇宙飛行士たち。“一芸に秀でたジェネラリスト”だなんて、カッコよすぎます。
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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