ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第11回

宇宙飛行士大西卓哉氏が訓練を語る

2012.10.10 WED


滞在中のヒューストンからテレビ電話での取材に応じてくれた大西卓哉宇宙飛行士。日本にいる友達とも、ときどきスカイプなどを通じてコミュニケーションを取っているとか
地球とはまるで異なる環境で、常に死の危険と隣り合わせ。ミッションには莫大な予算や労力がかかっており、失敗は許されない。そんな宇宙飛行士たちの訓練は、さぞ過酷なのでは…? 現在NASAで訓練を受けている大西卓哉宇宙飛行士に話をうかがった。

「一番印象的だったのが、『野外リーダーシップ訓練』です。これはグループで峡谷のなかを10日間歩き回るという訓練なのですが、とにかくキツかったのが、水不足です。川や泉を見つけて調達するというルールなのに、どこも干上がっていて、キレイな水が全然手に入らない。それで最終的には水たまりの泥水をバンダナでろ過し、薬剤を入れて飲んだんですが、これがひどいニオイでまいりました。また、“落ちたら大ケガ間違いなし”という断崖を歩いたりもしたんですが、私はパイロット出身の宇宙飛行士なのに高所恐怖症でして…なかなか怖い思いもしました(笑)」

宇宙空間へ飛び出して行う「船外活動」に備えた訓練も、かなりハードなものだったとか。

「宇宙服を着て巨大なプールに潜り、部品の取りつけや配線などの作業を行う訓練です。6時間ずっと潜りっぱなしで、食事もトイレもできません。宇宙服のなかは加圧されていて本当に動きにくい。プールから上がった頃には握力はなくなり、全身の関節がバキバキになっていました」

どれも想像を絶する内容だけど…宇宙飛行士の訓練は、こういった“肉体的な過酷さ”だけにとどまらないようだ。

「今でもすごく苦労しているのが、語学の習得です。指示を理解し、状況を説明するためには、英語とロシア語をマスターしなくてはなりません。よく教官がジョークを織り交ぜてくるんですが、これが厄介でして(笑)。ジョークって、言葉の内容はもちろんのこと、文化的な背景などもわかっていないと理解するのが難しいんですよね。そういった部分も含め、勉強勉強の毎日です」

こういった訓練を5~6年、人によっては10年以上も積み重ねながら、来るべき宇宙飛行に備える。宇宙飛行士って、花形の職業に見えて実は下積みの長い地道な仕事なのかも…。

「でも、毎日が刺激に満ちていて楽しいですよ。こういう訓練をともに乗り越えていくことで、仲間とのチームワークも磨かれていきます。ただ、ヒューストンでの生活なので、日本の友達や両親、ご飯や文化などが非常に恋しいですね。ある意味、これが一番“過酷”かもしれません(笑)」
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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