ここに注目! 宇宙開発&観測最前線 第12回

宇宙飛行士は中間管理職だった!?

2012.10.17 WED


林 公代さんの著書『宇宙飛行士の育て方』(日本経済新聞出版社/1680円)では、状況判断やコミュニケーション能力、宇宙空間でのストレスマネジメントまで、宇宙飛行士たちへの取材を通じて見えた“仕事術”を詳しく紹介している
宇宙飛行士といえば、ごく限られた人しかなれないヒーロー的存在だ。しかし、宇宙ライターの林 公代さんによれば、その仕事は“中間管理職”に似ているという。イメージ的にはギャップがあるけど…どういうこと?

「ISS(国際宇宙ステーション)での仕事において、彼らの立場は『与えられた任務を遂行していく現場の責任者』です。地上にいるNASAやJAXAの運用チームが宇宙で行う仕事の内容を取り決め、宇宙飛行士たちは科学者や技術者といった専門家のアドバイスを受けながら、現場で実験や作業を進めていきます。この立場を、若田光一さんは『会社でいえば課長のようなもの』と説明しています」

つまり宇宙飛行士とは、国家規模、人類規模のノルマを背負って宇宙へ派遣される課長というわけだ。ちょっと親しみやすいイメージかも…。

さらに、求められる資質にもビジネスマンと共通する部分があるという。自己管理ができず過労で倒れたら元も子もないので、無理は禁物。また、チームで働く以上、常にまわりをフォローできる余裕も必須。宇宙飛行士の大西卓哉さんによれば、NASAの訓練でも、過酷な環境で危険の芽を摘み取るリスクマネジメントや、自分や仲間のコンディションを見極める判断力といったものを養うようだ。

組織の一員として機能するべく、しっかり自己管理をし、仲間と助け合いながら仕事を進める。宇宙飛行士の仕事って、僕ら一般のビジネスマンが学べるところも多いかも!

「事実NASAには、優れた能力を買われてGoogleに転職した宇宙飛行士もいます。彼は宇宙で培った状況判断や危機管理の力を発揮し、マネージャーとして多くのプロジェクトを成功させているようです」(林さん)

ちなみにISSでは、宇宙飛行士の勤務時間は朝の8時から夕方6時頃まで。基本的には週休2日で、ときに残業や休日出勤もあり。さらにはトイレや部屋の掃除を欠かさず、職場環境の保全にも努めているという。みんなの憧れを集めるヒーローであることに変わりはないけれど、そう考えると、彼らの存在が少し身近に思えてこない?
(清田隆之/BLOCKBUSTER)

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