太るより痩せる方が危険!?

ストレスと肥満のメカニズム

2012.10.17 WED


食欲を抑える働きのあるレプチンは、睡眠不足になっても分泌量が低下するそうだ。その一方で、寝不足状態だと食欲を促すホルモンのグレリンが増加し、食べ過ぎる傾向にあるという。なるべくストレスを軽減させ、健康的な生活を送ることが肥満改善への近道のようだ
よく「ストレス太り」「ストレス痩せ」という言葉を耳にする。つまりストレスによって太る人もいれば痩せる人もいるということのようだが、ストレスと肥満にはどんな因果関係があるのか? ダイエット関連の著書も数多いアンチエイジングのスペシャリスト、横浜クリニック院長の青木晃先生に伺った。

「ストレスで太ってしまうのは自律神経のひとつである交感神経の働きが低下しているからです。ストレスフルな状況が続くと自律神経が酷使され、交感神経の働きはどんどん低下していきます。交感神経は脂肪の分解や燃焼、代謝に深く関係しているため、これが低下すると体内での脂肪の代謝がスムーズに行われなくなってしまうのです」

ストレスを感じると人の体はコルチゾールというホルモンを大量に分泌する。コルチゾールは脂肪を蓄積させやすく、そのうえ食欲抑制ホルモンであるレプチンを減少させるため、食欲に歯止めがかからなくなってしまうのだとか。

「250万年ともいわれる人類の歴史の中で、最も大きなストレスは『飢餓』でした。人類は長きに渡って“食べられない“という苦しみに対して非常に強いストレスを感じてきました。よって現代人の遺伝子にもストレス=飢餓と翻訳するメカニズムが組み込まれています。つまり、ストレスを感じると飢餓に耐えられるよう、なるべく脂肪を分解しないようにしたり、代謝を低くして蓄えたエネルギーをなるべく使わないようにしたりと、体が痩せにくい状態にシフトしてしまうわけです」(同)

一方の「ストレス痩せ」についてだが、これは胃腸機能の低下による食欲減退が主な理由。極度の鬱状態による副作用だ。

「食欲不振は鬱の特徴的な症状のひとつ。これで痩せてしまうというのは非常に不健康です」(同)

これらを踏まえると、健康的なダイエットにはストレスで乱れた自律神経の調整が不可欠。青木先生によれば、自律神経を正常に働かせるためにはできるだけ意識的に「自然な環境に身を置く」ことが必要になるという。

「現代人は真夜中でも昼間と同じくらい明るい部屋で過ごし、暑さも寒さもエアコンのボタンひとつで調整可能な生活を送っています。仕事や人間関係のストレスもさることながら、この便利さこそが自律神経の働きを乱す最大の要因。朝は日の出とともに起きて活動し、日没とともに夕食を食べ、夜はたっぷりと7~8時間の睡眠をとる。自然界のリズムに合わせた生活を送ることが大事です」(同)

忙しいビジネスマンはどうしても不規則な生活に陥りがちだが、それでも例えば、朝いつもより30分早く起きてゆっくり散歩したり、夜は早めに部屋の電気を消したりと、できることから始めるだけでも違う。まずは自らの意志で自律神経を整える意識をもつことが大事だ。

そういう意味では気候が穏やかになる秋は、外気にふれて自律神経を整えるのに最適な季節。最近お腹まわりが気になるアナタ、この機会に健康的な生活づくりに励んでみては?
(榎並紀行)

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