夏が終わっても雷さまはそこにいる!

秋冬も落雷に注意すべき?

2012.11.01 THU


冬の雷ならではの特徴である“上向き放電”を捉えた写真。ちなみに冬はこの雷と通常の落雷と半々の確率くらいで起こるそうです 画像提供:音羽電機工業株式会社
秋が深まり、台風接近のニュースもだんだん聞かなくなってきました。風雨とともに、怖い雷もこれから少なくなりそうだし、これでひと安心。…と思っていたら、どうやらそういうわけにもいかないようです。

「雷が発生するのは夏というイメージですが、秋や冬にも日本海内陸部に向けて吹いてくる西からの季節風の影響で雷が発生する危険性は十分にあります。太平洋側では冬にはほとんど雷は発生しないと思われていますが、実際の雷の発生頻度のデータを見ると,冬でも太平洋側の内陸部から沿岸部、太平洋上に進むにつれて発生頻度が多いということも明らかにされています。地域や気象条件によっては夏と同じかそれ以上に雷が発生することもあるので、まだまだ注意が必要です」

とは、兵庫県立大学で電気系工学を教える上野秀樹先生。冬の雷の特徴とは?

「冬の雷は、建物の先端から空に向けて稲妻が走る“上向き放電”が特徴的。夏に比べて冬は雷を引き起こす雷雲が地上に近く、空と地表の気圧差も小さいのです。ですから夏に雷の落ちやすい(+や−の電荷が偏りやすい)場所である鉄塔や煙突などの先端が地表から突き出た部分から、雲に向けて放電するということが起こるのです」(同)

地上から雲に向けて放電が起こるなんて知りませんでした! ほかにも特徴は?

「“強い日差し”と“気温の高さ”が夏の積乱雲発生の条件なのに対し、冬はこの季節にずっと吹いている“季節風”が雷雲を発生させる条件。つまり、天候や気温差に雷の発生条件が左右されないため、発生予測がしにくいのです。さらに、冬の雷の電流によって流れる電気のエネルギーは夏に比べて100倍近いことも知られています」(同)

ところで実際に落雷の電圧とはどれくらいなのでしょうか?

「落雷の電圧は数百万ボルトから最大10億ボルトにまでなることもあります。参考までに言うと、一般家庭用電源の電圧は100ボルト、冬にパチっとくる静電気は数千~数万ボルトといったところです」

単純計算で静電気の約100倍の電圧があるんですね。

「そうなんです。静電気の場合は数万ボルトといっても皮膚が破れたりケガをしたりはしません。それは流れる電流の量(アンペア数)がごく微量だから。命に危険が及ぶのは、100ミリアンペア以上の大きな電流が体内を流れたとき。家庭で使うようなLED電球は100ボルトでワット数が7~11ワットですから、流れる電流は70~110ミリアンペア。つまり、LED電球を灯すための電流を体内に流しただけでも死んでしまう可能性があるのです。それが雷ともなると、電流も電圧もケタ違い。万が一落雷の被害にあえば深刻な事態となります」(同)

冬だからといって雷が起こらないとは言い切れません。予想がしにくい分、夏より一層落雷には注意して過ごした方がいいかもしれませんね。

(冨手公嘉/verb)

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