ビジュアルレーベル「Recode」が話題

原点回帰?現物提供ビジネスの今

2013.04.05 FRI


Recodeは、キャンバスのサイズによって異なる値段設定が用意されている。3月にリリースされたRecodeの特集第3弾は、イラストレーベル「百化」とのコラボレーション。今後は展示会や海外展開なども視野に入れているそうだ
出版各社が電子書籍に力を入れ始めるなど、コンテンツのデジタル化が急速に進む昨今。その一方で“逆張り”ともいえるサービスが面白い展開を見せている。そのひとつが、Webサイト上で公開されているグラフィックやイラスト作品を、1枚のキャンバスに印刷して届けてくれるというオンデマンドプリント・サービス「Recode」だ。

「グラフィックやイラストは、例えば本の表紙やCDジャケットなど、パッケージの一部という形でないと世に出にくいものです。だからそれらを“単体の作品”としてアーティストが発表できる場を設けようというのがRecode立ち上げの動機です。作品を気に入ったユーザーは、実際に手で触れられる“現物”のモノとして購入することができます。これまでは、Web上に公開されている作品をディスプレイ越しに見るだけでしたが、そこからさらに一歩進めて、無償で提供されてきたデジタル作品をプロダクトにすることで、作品自体に新たな価値を見いだそうという試みです」

そう答えるのは、Recodeのアートディレクターを務める大楠孝太朗さんだ。Recodeは、付加サービスとしてプリントを始めたわけではなく、視覚表現という観点から、最も適したアウトプット形態として高品質のキャンバスを選んだという。

他にも、ユニークなオンデマンドプリント・サービスとして挙げられるのが、2010年末にリリースされた「Wearable Web」。そのブックマークレット(※登録先のURLに遷移するブックマークとは違い、ワンクリックでちょっとしたプログラムを実行する)をブックマークバーなどに登録し、好きなWebサイトに移動してクリックすると、ページ上のあらゆる画像をTシャツにすることができる。サイズやカラーはもちろん、画像の配置場所の指定も可能だ(※画像の使用はユーザーの自己責任)。

その他、誰でも電子書籍を無料で発行・販売できるWebサービス「BCCKS」では、作成した電子書籍を自分だけの紙の書籍として有料で印刷できる。現在はβ版のため、発行した紙の本を販売することは許可されていないが、自分だけの電子書籍をお手頃価格で“紙の本”としても購入できるのはひとつの魅力だろう。

「デジタル化が進む現代ですが、震災以降、日本では高額な装飾品などの売り上げが伸びているという話もあります。自分が本当に欲しいと思うプロダクトに対してはきちんと相応の対価を支払っているということだと思います」(大楠さん)

デジタルコンテンツが急増するがゆえに、逆にアナログ表現の魅力が見直され、価値が高まっているという見方もできるだろう。

無償のコンテンツはWeb上にあふれているが、あくまでデータの集積でしかない。対価を支払ってでも気に入ったモノを手に取る形で得ようとする欲求は、自然なことなのかも。
(ピーチ四葉/東京ピストル)

※この記事は2012年4月に取材・掲載した記事です

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