インドやアフリカで大人気

電気を使わない冷蔵庫の仕組みとは

2013.03.29 FRI


非電化工房の非電化冷蔵庫の仕組み。なお、自作も可能ですが、ポイントを踏まないとうまく冷えないので、ワークショップに参加した方がよいとのことです
ナイジェリアの「Zeer Pot」や、インドの「Mitti Cool」など、電気を一切使わず食料品の鮮度を数日間保つことができるという「非電化冷蔵庫」がアジア・アフリカ地域で人気を集めているそう。いったいどんな仕組みなんでしょう? 数々の電化製品の非電化に取り組んでいる、非電化工房の藤村靖之さんにうかがいました。

「どちらも仕組みは単純で、『気化熱』でモノを冷やしています。素焼きの陶器のツボに水を入れて、風通しの良い日陰に置いておくと、ツボの表面の細かい穴から水がにじみ出てきます。それが乾いて水蒸気になる(=気化)際に熱が奪われるので、ツボや中の水が冷えるというわけです。そのまま水の中に野菜を浮かべるだけでもいいですし、Zeer PotやMitti Coolみたいに大きな陶器の中に小さな陶器を入れる二重構造にして、陶器の間に砂をしきつめて水を入れておけば、小さな陶器の中のものが濡れずに冷えることになりますね」

汗が乾くと体が冷えたり、消毒用アルコールを肌に塗るとヒヤッとするのと同じ仕組み。じゃあ、みんなこれでモノを冷やせば冷蔵庫はいらないということ?

「条件が整えば外気温より5、6度は冷えますが、常温で気化する環境でないと冷えないので、湿度の高い日本では使えません。気化熱式冷蔵庫はアフリカの砂漠地帯やインドの乾燥地帯に向いているんですよ」

そうかー、残念。でも非電化工房では他の非電化冷蔵庫を研究・開発しているとか。

「我々の非電化冷蔵庫は輻射熱式です。これは赤外線による放射冷却を利用した仕組み。あらゆるモノからは赤外線が出ているんですが、特に温度が高くて真っ黒なものからはたくさん出ます。なので“温かくて黒い金属板”を放射板として用意し、それを空に向けておくと──宇宙は赤外線が出ないほぼ絶対零度ですので──放射板から一方的に赤外線が出ている状態になります。赤外線もエネルギーなので、放射されれば熱が奪われ、放射板が冷えます。そして放射板が水に接していれば、水が冷える。そういう仕組みなんです」

ただしこの仕組み、夜に空が良く晴れていなければ、放射冷却が進まないので使えないとか。ほかにもいろいろと“稼働条件”があるという。

「日中は太陽光が当たらず、夜間には空が見える屋外に設置しないといけません。最低でも3日に1日は晴天じゃないと難しいですね」

ゆえに地方ならともかく、湿度が高く、庭も少なく、曇りの日も多い日本の都市部には不向き。飲み物くらいは電気なしで冷やせるかなーと淡い期待を寄せましたが、なかなか難しいものですね。
(熊山 准)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト