いまなおブラックボックスであるUFO問題の終着駅

UFOと陰謀論の聖地 エリア51

2013.06.19 WED


エリア51立ち入り禁止区域の写真 (WIkipediaより/撮影・佐藤健寿)
アメリカにおけるUFOの歴史とは、すなわち陰謀の歴史でもある。1947年のロズウェル事件以来、米国のUFO研究家たちは、米政府はすでに異星人との接触を果たし、その秘密契約を隠匿し続けていると常に疑い続けてきた。そしてこの巨大な陰謀論の核となるブラックボックスの役割を果たして来たのが、エリア51である。

■1989年、物理学者ボブ・ラザーの衝撃発言

エリア51とは、もともと米ネバダ州の南部に位置するグルームレイク空軍基地の一区画である(基地内の51番区画という意味)。70年代後半まで、米政府はその存在を隠してきたが、当時冷戦状態にあったソ連のスパイ衛星が同地一帯の上空を撮影した写真が公開され、その存在が明らかになった。

米政府はその後も基地については言及を拒み続けていたが、1989年、KLAS-TV(米ラスベガスのテレビ局)の番組に突如現れた一人の男によって、同施設の名は一躍世界の注目を浴びることになる。エリア51の元職員を名乗る物理学者、ボブ・ラザーである。

ラザーは取材に対し、エリア51にはロズウェル事件の際に秘密裏に回収された異星人の遺体や残骸物が保管され、米政府が極秘でそれらテクノロジーの研究を続けているという衝撃の実態を番組で暴露したのだ。

さらにラザーによれば、エリア51内には通称「S-4」と呼ばれる地下秘密区域があり、そこには墜落したUFOが格納され、リバース・エンジニアリング(分解分析作業)が行われているという。さらにその技術を応用した地球製UFOまでもがすでに開発され、基地内で生きた異星人らしきものを見たというのだ。

ラザーのこの一連の発言は世間に大きな衝撃を与え、米国のUFO研究家や市民を巻き込む大騒動となる(ちなみにこの後、ラザーは来日も予定していたが「米政府によって突然、海外渡航を禁止された」ため、日本の番組への出演は実現せず、電話による実況中継放送が実現された)。

■聖地と化すエリア51

この一連の騒動から30年。エリア51は今やUFOマニアの聖地である。『X-FILES』をはじめ、様々な映画やドラマにも頻繁に取り上げられ、その存在はもはやロズウェルをも凌ぐ、アメリカUFO問題のシンボルと言っても過言ではない。

例えば数年前に大ヒットした映画『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』では、冒頭でジョーンズ博士が異星人の遺体を探す倉庫の扉に大きく「51」と描かれ、マニアをにやりとさせた。

さらに一昨年、スマッシュヒットを記録した「宇宙人ポール」に至っては、聖地(=エリア51)巡礼に訪れたイギリスのUFOマニアが、そこで宇宙人と遭遇するという身もふたもない筋書きである。いずれにせよ、今やエリア51はUFO問題のイコンとして真っ先に参照される象徴となっているのだ。

■エリア51研究の第一人者の逮捕

では実際に現地はどうなっているかといえば、こうした映画やテレビの影響から“観光地”として世界中の好事家を集める一方、一帯では相変わらず謎の飛行物体の目撃が続き、過去同様に厳重な警備体制が維持されている。立ち入り禁止区域の境界に立つ看板には「これより先は写真撮影禁止」「侵入者に対しては重火器を使用する許可がある」といった威嚇的な言葉が並び、看板の先には常時謎の黒いジープが待機して、何人の進入も許さない構えである。

また数年前には、長年エリア51の監視を続けているチャック・クラークという人物が、FBIによって逮捕される事件も起きている。2005年頃から、米軍はエリア51周辺一帯と、さらにエリア51へと続く州道375号の道路脇の地中に、目的不明の謎のセンサーを埋め込みはじめた。

そこでチャック氏はそのセンサーを掘り出し、軍用地以外での市民の監視はプライバシーの侵害であるとして、マスコミに訴えたのだった。しかしそれから約ひと月後、エリア51近くのレイチェルという街にあるチャックの家は、大挙して訪れたFBIや州警察によって包囲された。

「あの時は、いつも静かなレイチェルにFBIやらCIAが大挙して、はじめは理由が分からず、遂にエイリアンが公開される前触れなのかと思ったわ」

レイチェルでエイリインという宿を営むパットさんはその時の様子を筆者にこう語った。

そしてFBIは家宅捜索を行い、センサーのみならず、チャック氏がこれまで収集したエリア51に関する膨大な資料を没収し、「国防上の理由」でチャック氏を逮捕した。この一連の騒動からも、エリア51が単なる「変わった観光地」なのではなく、いまだ活発な米軍の重要拠点であることは明らかである。

このようにエリア51を巡る実情は、ただ謎が謎を呼ぶばかりで、我々が知ることのできる全ては、おそらく80年代と何も変わっていない。近年では情報公開法と熱心なマニアの活動により、20世紀における米政府のUFOに対する取り組みや反応が徐々に明らかになりはじめているが、UFO問題の「終着駅」であるエリア51の情報はいまだほとんど明かされていない。その重い扉は、固く閉ざされたままなのである。

(X51.ORG)

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