実はとても目がよい!

ダイオウイカ その視力はどの位?

2013.08.24 SAT


「撮影に成功し、ソデイカに食いついたダイオウイカの眼を見た時は、あれだけ大きな眼ですから、向こうもこちらを見ているように感じ、『あいつも何か考えているのかも』と思いました。もちろん、本当のところは分かりませんが」(窪寺先生) Detroit Free Press/Getty Images
先日、NHKで放送された『NHKスペシャル世界初撮影! 深海の超巨大イカ』の放送以来、すっかり人気者となったダイオウイカ。あの放送にくぎ付けになった人も少なくないだろう。

そして番組を観た多くの人が、ダイオウイカの「眼」に強い印象を抱いたはずだ。時おり動く、不気味で大きなギョロ眼。あの眼は、私たち人間が持つ眼と、同じものだと思っていいのだろうか? 番組で生きたダイオウイカの撮影に成功した、海洋生物学者の窪寺恒己先生に話をうかがった。

「ダイオウイカは昆虫や貝類、カニなどと同じ無脊椎動物です。しかしその眼は昆虫が持つ複眼などと違い、『カメラ眼』という、私たち脊椎動物の眼にとてもよく似た構造をしています。違いは『盲点』がないことくらいですね」

巨体に見合った大きな眼だが、単にサイズが大きいだけでなく、構造自体も高度な作りのようだ。ということは、視力も相当いいということ?

「ダイオウイカの眼の、視細胞の数を調べたところ、かなり密度が高いことが分かりました。網膜上における体面積あたりの視細胞の数は、人間よりも多いほどです。分かりやすく人間の視力でたとえると、1.5くらいですね」

人間で1.5なら、かなり目がいい方だといえる。しかし、その見え方は私たちとは異なると窪寺先生は言う。ダイオウイカには、世界がどのように見えているのだろう?

「ダイオウイカは、『トワイライトゾーン』と呼ばれる水深200~1000mの水域の、600~1000m付近に生息しています。人間なら何も見えない闇の世界ですが、まったくの暗闇ではなく、微弱ながら太陽の光が届いています。そこで眼の“大きさ”が重要になってきます。カメラもレンズが大きければ大きいほど、たくさんの光を集めることができますよね。ダイオウイカの眼は、一般的にソフトボール大くらいで、大きいと直径25cmほどもあります。それだけレンズが大きいので、人間には全く闇の世界の深海が、もっと明るい世界に見えているのでしょう」

ダイオウイカの大きな眼は、彼らが深海で生きていくために備わった高機能カメラなのだ。ちなみに、NHKスペシャルで撮影されたダイオウイカは“まばたき”をしていたが、あの行動の理由は…?

「撮影した際に、強い光でダイオウイカを照らしました。ダイオウイカにとっては、夜道でいきなり強烈な車のヘッドライトを浴びたような状況です。視界はホワイトアウトし、私たちのことは見えていなかったのではないか、と今は考えています。まばたきをしたように眼がキューッと動いたのは、眩しかったのじゃないかと思います」

はからずも目くらましになってしまった照明。そのおかげもあってか、23分間もの間、私たちはダイオウイカの姿を見ることができたのだけど…ダイオウイカにはつらい時間となったのかも。

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