150秒で疲れがわかる!?

疲労を数値化できる装置とは

2013.10.04 FRI


これまでにも自律神経の働きを調べる装置は存在したが、今回の装置は心電図と脈拍の両方を手軽に測定できるようになり、より精度が増したという
日々、忙しい毎日を送っているビジネスパーソンのみなさん。疲れてはいないだろうか? 「もちろん、疲れているよ」との声が聞こえてきそうだが、その感覚は人それぞれ。いくら疲れていても他人には理解されないし、逆に、他人の疲れを理解するのも難しい。しかし、疲れの程度が目に見えるとしたら…。

なんと、疲労やストレスの度合いが簡単に分かる測定装置が開発されたという。開発したのは、その名もズバリ「疲労科学研究所」。大阪市立大学医学部疲労クリニカルセンターや村田製作所、日立システムズなどが協力して製作したとのこと。一体どのようにして疲れを測定するのだろうか。

「測定方法は、両手の人差し指を機械に入れて、150秒ほど安静にしておくだけです」と教えてくれたのは、疲労科学研究所の倉恒邦比古社長。

しかし、指2本で疲労の度合いがわかるとは…。いったい、何を測っているのだろうか?

「脈拍と心電図を測っています。これにより、自律神経の働きと交感神経・副交感神経のバランスがわかります。交感神経は緊張時、副交感神経はリラックス時に作用するのですが、このバランスが崩れていると、常に緊張状態となってしっかりと休めず、疲労が蓄積することが多いんです」

採取されたデータは、独自のアルゴリズムで解析され、瞬時に結果が判明する。ちなみにこのアルゴリズム、倉恒社長の弟で疲労科学の第一人者である、関西福祉科学大学教授(大阪市立大学医学部客員教授、東京大学大学院農学生命科学特任教授)の倉恒弘彦氏が監修。1万人以上のデータや疲労研究におけるデータ蓄積から生み出されたのだとか。

「結果は、自律神経の機能年齢や心拍変動、交感・副交感神経のバランスが数値やグラフで表され、正常なら青、注意なら黄、要注意なら赤のフェイスマークが表示されます」

なるほど。それでは、論より証拠ということで、疲労度を測定してみることに。両手の指を機械に入れて安静にすること2分半。結果はというと…。

自律神経の働きを表す数値ccvTPは3.51。この数値からは”自律神経の機能年齢”がわかるのだが、実年齢とほぼ同じという結果だった。疲れているときには、機能年齢を実年齢が上回ってしまうのだとか。

一方、交感神経と副交感神経のバランスはというと、やや副交感神経が優位。休息状態にあるという。倉恒社長いわく「図太い神経をされていますね」とのこと。緊張しながら取材をしていたはずなのだが…。

「疲れていると交感神経が優位になります。精神活動が活発になり、身体的には血圧の上昇や消化液の分泌の抑制、筋肉の緊張などが現れます。仕事などには向いていますが、常にストレスがかかっていて、体が休まらない状態ですね」

この疲労測定装置は、もともとは被災地における住民や自治体職員のメンタルヘルスケアに役立つサービスとして開発されたそうだ。そのため、日立システムズを通じて、東日本大震災で被災された地域の公共団体をはじめ、全国の病院や保健所、企業の健康相談施設、スポーツクラブなどへの導入を考えているという。

「自分では自律神経の状態はなかなかわかりません。しかし、このように数値で客観的に確認できれば、メンタルリスクの予防や早期発見につながります。私は“心の血圧”と呼んでいるんですよ」

疲れが目に見えてわかれば、無理な残業や飲みの誘いをきっぱりと断ることもできそう。病院や保健所、企業の健康相談施設といわず、将来的には、スマートフォンのアプリなどになることを望まずにはいられない。

(笹林司)

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