ミッションは「消火栓を雪から掘り出せ」!市民参加が続々

位置ゲーム化で「ソーシャル除雪」

2014.12.21 SUN


BT / PIXTA(ピクスタ)
朝、起きてみると、家の前の道が雪に覆われていて出かけることもままならない──雪国に住む人なら経験したことがある深刻な事態だ。アメリカでも事情は同じとみえて、ウィスコンシン州ウォーキシャー、ニューヨーク州バッファロー、ミネソタ州ミネアポリス、マサチューセッツ州ボストンなど全米各地で、除雪車に温度センサーを装着し、GPS情報と組み合わせて、除雪の効率化と住民サービスの向上を図る取り組みが進んでいる。

例えば住民が近所の除雪を市などに依頼すると、除雪車は、まず幹線道路を除雪し、徐々に細い道を除雪しながら依頼された場所に向かう。これまでは、除雪車は今どこにいて、どの道の除雪が終わっているのか、そして依頼した場所の除雪はいつ終わるのかを知るすべはなかった。導入が進むシステムでは、GPSとセンサーによって、除雪車が位置と状況を時々刻々と伝えることができるので、住民に作業完了をメールなどで通知することもできる。

除雪状況について、市民からの通報を受け付けられるインタラクティブな機能を組み合わせている事例もある。ミネアポリスのスマホ用アプリは、住民から市に対して積雪や氷結の状況を報告する機能があるのだ。

市民生活を支える重要な公共施設の除雪を促進する試みも全米に広がっている。それが、2012年1月、公共に役立つプログラムを作成して社会に貢献しているCode for Americaという組織が、ボストン市と共同で開発したアプリ「Adopt-A-Hydrant」。GPS情報を頼りに、雪の中から消火栓を掘り出すゲームアプリだ。

大雪が降ると、道路脇などにある消火栓も、もちろん雪に埋もれてしまう。そのままにしておいては、いざという時に消防士が消火栓を掘り出すのに時間を奪われて消火活動が遅れてしまうのだが、市には消火栓を除雪する財源がなかった。そこで「自分が雪から掘り出した消火栓には名前を付けられる」「再び雪に埋まったまま放置されている消火栓のオーナーシップは、掘り出すことで奪うことができる」というゲーム形式のアプリAdopt-A-Hydrantを開発したのだ。これによって、実際に消火栓掘りに熱中する市民が続出した。消火栓の場所を地図上に表示するだけでなく、人々をその気にさせるために付加したゲーム性が功を奏したのだ。

今年も冬に向かうに当たって、ボストンを含め全米各地の消防署が、市が協賛する「Adopt-A-Hydrant」プログラムへの参加を呼び掛けている。
(信國 謙司)

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