人間を100とすれば、ここまで近づいている!

人工知能「人」への完成度は30%

2015.02.12 THU


2010年に行われた女流王将vs.人工知能「あから」の一局。6時間を超える激闘の末、86手で「あから」が勝利した 画像提供/あから2010
古くから漫画や映画の中では、人とロボットが友情を育む姿が描かれてきた。発展著しい人工知能の技術をもってすれば、人の感情を理解するロボットも技術的には実現可能なのだろうか?

「結論からいえば、可能だと思います。私は今世紀中には人工知能に感性的な思考や感情が芽生え、表情や声色などから人の気持ちが分かる、人間味あふれるロボットが誕生するのではないかと考えています」

こう語るのは、人工知能学会の松原仁会長。松原氏によれば、1950年にスタートした人工知能の研究は近年になって急加速。すでに“知性”という点では、人間を凌駕するレベルに達しつつあるという。

「ひとつの例として挙げられるのが、コンピューター将棋の進化。1970年代に研究が始まり、計算上は、今年2月中に羽生善治棋士に勝ち越すレベルに達する見込みです。膨大な棋譜を分析し、相手の思考を読み、次の一手を考える将棋はまさに論理的な知性の象徴。そのゴールは見えてきましたので、次はさらに難しい『感性』の部分にアプローチするプロジェクトが始まっています」(松原氏)

松原氏は数年前から人工知能で文学作品を創作する研究をスタート。星新一のような短編小説を書かせるという試みで、最終的には芥川賞を目指すという。

「人間の小説も、これまでに書かれた文章を無意識に組み合わせて作られている部分があります。その組み合わせ方が新しければ、それは創作と言えると想定し、研究を進めています。実現すれば、人間の専売特許とみられていた感性やひらめき、クリエイティブな表現まで人工知能が扱えるようになります」(同)

ちなみに、現状の人工知能はどれくらい人間に近づいているのだろうか?

「人間を100とすると今のところ30くらいですが、ある段階を超えれば飛躍的に進化します。いずれ人工知能は人間にプログラミングされなくとも、向学心をもって情報を集め、勝手に学ぶようになる。あたかも人工知能に自我が芽生えたような状態です。知性と感性、それに自我が合わされば、ほぼ人間と呼べる人工知能になる。人間とロボットが友情を交わすというのも夢物語ではなくなり、疑似恋愛もできるようになるでしょう」(同)

一方、世界では「人間の脳」をつくりだすプロジェクトも進む。

「アメリカでは米国国防高等研究計画局の『シナプス計画』、ヨーロッパでは『ヒューマンブレインプロジェクト』として、それぞれ巨費を投じた研究開発が行われています。脳のシナプスとニューロンの仕組みをスーパーコンピュータで再現するもので、あと2~3年で人の脳と同等レベルのデータ処理能力に達する見込みです。人の“脳”を模倣することで、自ら考えるコンピュータができるのではないかといわれています」(日本シンギュラリティ協会・小泉貴奧会長)

もちろん、あくまで人間はロボットを道具として使うべきとする学者も多く、「友達ロボット」の是非についての判断は分かれる。しかし、ロボットが人間のように考える未来は、なんだか楽しそうでもある。

(榎並紀行/やじろべえ)

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